768# いざ、行こう ページ18
▼橘まどか
DES軍による秋葉星への攻撃。
ニュースでは、00は戦闘の末に星を脱出してDES軍が勝利をおさめる。市民を芸能から解放する働きかけをしているとか。……なにそれ。無性に腹が立ったのはあたしだけじゃなかった。握りしめた手が震える。
本当に芸能がない方が有意義だと思っているの……？ 独裁政権で得をするのは上の階級の奴らだけ。本当は……秋葉星を占領し、星の人たちを管理下におきたいだけ。簡単に言えば意志を語れなくしたいのだ。好きなものを好きと言っては秩序が乱れると政府は思っているんだろう。
「秋葉星に行きましょう」
「「…………」」／「……姉貴」
「何ができるかはわかりません。……でも、何でもいいから力になりたい。この前のライブで芸能禁止を強化する活動が止まりました。危険を顧みずに歌った00に、今度はあたしたちが返す番じゃないですか？」
芸能活動を行う人たちが、アイドルが。自分たちより歳下の女の子たちが、銃を向けられるのが怖くない……そんなわけない。
中でも77期研究生はこの春に加入したばかり。戦闘訓練も数ヶ月に始めたばかりだったと思う。あたしたちや護たちとそんなに変わらない。
それもだけど、それだけじゃない。武器があるのに傍観してたら、WOTAになった意味が無いんだ。ここで動かなきゃ、Aちゃんの友達だって声に出して言ってはいけない気がした。
「そうだな。まどかの言うとおりだ」
「！ リーダー、」
「みんな聞いてくれ！」
WOTA藍花星支部の支部長こと、真村リーダーはひとまずこの教室の中にいるWOTA兵に呼びかける。外の警備以外の兵士をこの場に招集した。
我々は藍花星へ行く。だが、もちろん全員は行けないため人選を行う。理由は主に二つだ。ひとつは秋葉星を占領した敵の戦力がわからないこと。自然災害で被災したとき、大勢で押しかけては逆に迷惑だと聞いたことがある。
ふたつめは、この支部の警備。芸能絶対防衛圏と言われる秋葉星がこのような目に合ってDESは確実に活気づいている。あたしたちが居城する支部もこれを機に攻められ、壊滅させられるかもしれない。
「みんなの想いに優劣はつけられない。しかし、準備と出発を考えると時間が惜しいのも事実だ。悪いが、クジで決めよう」
運だ。普段TVで00を観る際、その位置を決めるため割り箸で作ったクジがある。若い番号を引けば最前に座れるのだ。背の低い葵は、後の番号を引いたとき文句を言っていた。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2024年3月16日 19時
