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「テ、テテ・・・っ、」
TH「・・・出てくる」
慌ててテテの後を追いかけて、玄関で声をかけるもテテは私と目を合わせないよう下向き加減で。
サラサラの前髪は長めだから、表情が読み取れなくて不安が募る。
部屋着のままスニーカーに足を入れてつま先をとんとんと鳴らしながら片手では玄関の扉を開けて。
テテ、ともう一度声をかけようとしたらガチャン、とまるで全てを拒絶するかのように目の前で扉が閉まった。
あ・・・、どうしよう、
テテが行っちゃう・・・っ、
茫然と立ち尽くしているとすぐに、ガチャ、と控えめに扉が開いて。
バツの悪そうなテテがそおっと顔だけを覗かせる。
TH「・・・少し頭冷やしてくるだけ。ヌナ、先に寝てて」
「テテ、ごめん、私、話すからっ、」
TH「・・・うん、ちゃんと聞きたいから今は待って。なんかこのままだと、すっごいケンカしちゃいそう」
「テテ、」
TH「・・・ちゃんと帰ってくるから」
「・・・ここ、に？」
帰るって、ここは本当の家じゃないから。
一時の荷物を持って、気まぐれに、勢いで来ただけかもしれないから。
じわり、と浮かぶ涙が零れない様に必死になっていると、
TH「・・・もちろんここに帰る。鍵、持ってるんだよ」
‘ほら、’とミニライオンさんの付いた鍵を見せて、伏目がちにも不器用に口角を上げるから。
「・・・うん、わかった」
私も納得したように引き下がれば、さっきより静かに扉が閉まって、ゆっくり歩き出す靴音が遠くなっていった。
気持ちがこの展開に追いつけなくて、胸の鼓動が早く打って、身体はそこから動けないでいる。
・・・でも、今、伝えなきゃ。
こんな形で話すつもりはなかったけど、他に行ってもいいのと問われた時、咄嗟に出た嫌だと思う気持ちは本心だから。
ふぅ、と気持ちを無理やり落ち着かせて。
待つしかないこの状況を受け入れる為にもまずはお風呂に入ろうと洗面所に向かえば、私のお気に入りのライトとアロマキャンドルが準備されてて。
覗いた浴室は十分に暖かくて。
テテの優しさが其処彼処に散りばめられていた。
「・・・っ、」
話してくれないと言わせて背中を向けさせたのは私のせい。
彼の為と言いながら勝手にひとりで悩んで、苛々して。
けれど私の事を、二人の事を考えてくれてたのはテテの方だ。
胸が詰まって、堰を切ったように溢れ出す涙を拭いもせずに着ている服を脱ぎ散らかして浴室に駆け込んだ。
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みあも(プロフ) - こんにちは！クズ元カレと再会したシーンでは思わず泣いてしまいました。テテの包み込む優しさに涙が(;;)本当に素敵で大好きな作品です。この作品に出会えてよかったです。ありがとうございました！ (2021年6月7日 9時) (
レス) id: 2123f5cbc8 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 最高でした。所々、私自身も涙を流してしまいました。。。 感動的で時に少しHな部分もあってすごく楽しめました。ありがとうございました。 (2021年3月30日 17時) (レス) id: b5b319fcf8 (このIDを非表示/違反報告)
りーりー - 早く結ばれろって毒付いてたけど(すみませーんw)好きな人＝付き合いたい人とは違うって思いました。← (2019年10月5日 7時) (レス) id: 37e0abcb10 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - 長くなってしまいましたがこんな素晴らしい作品を読ませていただいて心から感謝します。これからのアウラ様の幸せを願っています！ (2019年4月11日 23時) (レス) id: 65b302e09c (このIDを非表示/違反報告)
ひな - 共感できるし、何より自分も子供好きだからこそ辛い事とかも…そんな寂しさから何となく男の人を求めてしまうのも、軽い関係だけで終わらせたいと思うのも。何だか自分語りみたいになってしまって申し訳ないのですが夜にギャン泣きしてしまうくらいには感動したので (2019年4月11日 23時) (レス) id: 65b302e09c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アウラ
| 作成日時：2017年11月11日 21時
