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TH「・・・ヌナ、」
「あ、もう、テテー、クラッカーこぼしてるー。ちゃんと取ってよね」
TH「え、あ、うん、ごめん、」
「もうチーズないね。なんか他にも持ってこよ〜、」
テテの顔が見れない。
テテと目が合うのが怖い。
きっと彼のことだから純粋にどうして、と聞いてくるだろうから。
自分で問いかけたくせに、結局答えは明かせず彼から逃げるようにキッチンに駆け込む。
普段通りに冷蔵庫を開けて、テテには背中しか見えないから探してるように見せかけて。
下唇を噛んで、溢れだしそうな全てを抑え込む。
胸が痛くて、痛くて、張り裂けそう。
ほらやっぱり、と思うのに何を悲しんでるんだか。
子供？欲しくないよ、とでも言って欲しかったのか。
わかってたくせに。
欠けた女は彼の期待には応えられない、と。
一緒にいても同じ未来を楽しみにすることは出来ない、と。
なのに。
自覚した気持ちは思ってた以上に期待を込めていたらしく、この胸に鋭い痛みを刻んでいく。
TH「ヌナ、どうしたの」
テテの声にはっとして振り返れば、キッチンのカウンター越しに心配そうに私を覗く彼と目が合う。
「あ、待ってていいよ、すぐ持って、」
TH「じゃなくて。・・・なにか話したいこと、ない？」
「え・・・？いや、ないよ、」
TH「・・・ほんとに？」
やめて、こんな私を心配そうに見つめないで。
テテを騙して、自分を誤魔化して。
そんな狡い自分に嫌気がさすけれど。
知られたくないんだよ。
だって、知らないままならまだ隣にいてくれるでしょ。
そうすれば、私には価値があるんじゃないかと思えるじゃない。
知られていなくなるぐらいなら、何も知らないままいなくなって欲しいから。
「・・・ほんとだよ。何もないよ？」
わざとらしくにっこりと笑顔の仮面を張り付ければ、テテは何かを言おうとしたけどぐっと我慢してくれて。
TH「・・・そっか、」
「うん。あ、これお願い〜。後は〜、」
話しつつまた冷蔵庫に顔を突っ込んで、向こうに行っててと背中で訴えると、ソファの方へ歩いていく気配を感じて、少しだけ安堵して。
向き合いたいと思ってた気持ちはいとも容易に萎んでしまって。
・・・やっぱりテテには抱いた淡い気持ちも、隠してる過去も、伝えられそうにもない。
求めちゃいけないんだよ、私は。
あんなに幸せそうに未来を語る彼に、私は何もしてあげられないんだから。
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みあも(プロフ) - こんにちは！クズ元カレと再会したシーンでは思わず泣いてしまいました。テテの包み込む優しさに涙が(;;)本当に素敵で大好きな作品です。この作品に出会えてよかったです。ありがとうございました！ (2021年6月7日 9時) (
レス) id: 2123f5cbc8 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 最高でした。所々、私自身も涙を流してしまいました。。。 感動的で時に少しHな部分もあってすごく楽しめました。ありがとうございました。 (2021年3月30日 17時) (レス) id: b5b319fcf8 (このIDを非表示/違反報告)
りーりー - 早く結ばれろって毒付いてたけど(すみませーんw)好きな人＝付き合いたい人とは違うって思いました。← (2019年10月5日 7時) (レス) id: 37e0abcb10 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - 長くなってしまいましたがこんな素晴らしい作品を読ませていただいて心から感謝します。これからのアウラ様の幸せを願っています！ (2019年4月11日 23時) (レス) id: 65b302e09c (このIDを非表示/違反報告)
ひな - 共感できるし、何より自分も子供好きだからこそ辛い事とかも…そんな寂しさから何となく男の人を求めてしまうのも、軽い関係だけで終わらせたいと思うのも。何だか自分語りみたいになってしまって申し訳ないのですが夜にギャン泣きしてしまうくらいには感動したので (2019年4月11日 23時) (レス) id: 65b302e09c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アウラ
| 作成日時：2017年11月11日 21時
