ぬくもり Ⅰ (ページ29)

今日:10 hit、昨日:3 hit、合計:82,991 hit

29 ページ29

・

「……ぉい…くらい…さくらい…っ。」

ぺちぺち…

誰かの声。
頬に触れる感触。

「っ!」

ハッと気づいて目を覚ます。

薬のにおいがする。真っ白な空間。ここは…保健室………?

あれ…，おれ…は一体…

突然ぼんやりしてきて，かと思ったら意識がなくなって…………

っえ，待って…授業は!?また，クラスメートに馬鹿にされる…?熱で倒れたなんて知られたら，明日は何を言われて…なにを…されて…っ

慌てて立とうとするのに，足に力が入らない。

「げほっごほ!」

俺の動きを体が拒否しているかのよう。

「はぁっ…じゅぎょ…っもどらな，きゃ…。」

ぼぉー…。

まただ，霞んで見える。左右にゆっくりゆらゆら揺れる景色。

「櫻井っ!」

「…っま，まつもと…くん?」

ハッとして横を見ると，ベッドに松本潤が座ってた。

「…っいつから?」

「ずっとだけど。名前よんで，起きたと思えばどっかに行こうとするし。今日はもう無理だろ。」

「………え。」

「おぼえてねぇの?お前，教室で気ぃ失ったんだぞ。」

あのとき，俺は…

「あ，大丈夫。やつらはあんたが突然顔伏せたもんだから，キレてはいたけど，熱出してぶったおれたってことは気づいてないぜ。」