ぬくもり Ⅰ (ページ28)

今日:9 hit、昨日:3 hit、合計:82,990 hit

28 ページ28

・

「なーに，お前寝ちゃってんの?」

「反省の言葉をどうぞ。」

「……。」

「おい，なんか言えよ。」

「…つ…あって……ら…。」

「おい，お前，声出せよっちっせーな。」

熱で乾燥した喉から出るのは，途切れた言葉だけ。

「あ，もしかしてお前泣いてんの?目ぇ赤いけど。」

「うける，だっせぇの。」

「……。」

泣いてない…。
俺は。

熱で，目が充血して潤んでるんだ，きっと。

「あ，おこってんのか?やんのかよ，おいっ。」

ガンッ

一発拳が腹部に入ってきて，

「うぅっ…。」

声をもらす。和也くんが一瞬こちらを見て，興味がないように視線を逸らす。

「おい二宮もなんか言えよ。」

「こんなカスに言うことなんて何一つないよ。見てて惨めだわ。」

氷のように冷たい声。

俺を見つめた冷たい瞳が，頭にこびりついた。

「…ってる…かっ。」

「い，さく……さ…ってめぇ…っ。」

……あれ。

…なに，これ。

急に音が，小さくなった。

そのかわりに，

キーーーーン…っ

変な音が，聞こえてくる。

頭も
視界も…

全体的にぼんやりしてきた。

気づいたら，暗闇の中だ。