ぬくもり Ⅰ (ページ25)

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「…あ。学校………っ。」

ハッとして，立ち上がろうとした俺は，ようやく気づいた。

雨にぬれて，びしょびしょになった髪。
水を含んで重くなった服。
そして，なにより…

いつもより，熱い体温。

「…っ。」

立とうとしたら，思ったよりきつかった。

「はぁっ…。」

荒い息が出る。

やっぱり…あんな雨の中，外で一晩。
風邪を引くのも当然だ。

ふらふらととりあえず家に入る。

「…あの，おば，さん……。」

「あら，びしょびしょねぇ。まあ，良いおしおきになったんじゃない?ほら早く着替えて学校にいきなさい。」

「…おれ，ちょっと…具合…悪くて…っ。」

「何甘ったれた嘘言ってんの。ほらほら，はやく。」

急かされるように言われた俺に，学校を休むという選択肢はなく，
必死に学校に向かった。

・

…今日は…，上履きがなかった。

かわりに，靴箱にあったのは大量の画鋲。

泣くのを堪えて，廊下をふらふらと歩く。

ﾋｿﾋｿ…

周囲から聞こえる声。

「あの人，上履きは?」

「髪めっちゃぬれてんじゃん。」

「なんか，きたねぇ。」

そんな声がする中で，

「あ，櫻井。」

ふと聞こえた声に顔を上げると，
メガネをかけた松本潤がいた＿＿＿。