ぬくもり Ⅰ (ページ23)

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「え……っ?」

うそ…だ。

俺は家に帰った瞬間，途方に暮れた。

ガチャンガチャッ

何度開けようとしても，開かないドア。

明らかに鍵がかかっていた。

いつもは開けてあるのに。

合い鍵はもらっていない。叔母さんいわく「あなたは信用できないから。」だ，そうだ。
最後に必ず"美穂の子どもだから，と当然のように付け加えて。

視界に白い物がはいって，ハッと顔を上げる。

小さな紙切れだった。

乱雑な字でなにかが書いてる。

"今日のこと。外で反省しなさい。チャイムは押さないでね。みんな寝てるので。"

叔母さん…だ。

外で……反省…?

一晩外で…過ごすの………?

降りしきる雨。

さっきよりも，雨脚は強くなった。

冷え切った手が，震える。

温かさを逃がさないように，体を丸めて，
地面に体育座りをする。

顔を埋めると，自然と涙が流れた。

何度泣いても涙はかれることを知らないのか，
止まることはない。

「くしゅっ…ふぇっくし!」

幼い頃。
よく風邪を引いた俺のそばには，いつもお母さんがいた。

けれど，
今は違う。どんなときでも，味方なんていない。

「…くしゅんっ!」

寒い……さむいよ，だれか…。

だれか…たすけてよ…。