ぬくもり Ⅰ (ページ12)

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「ありがとうございました。」

順調に終わったバイト。

ただ，慣れないせいで，強烈な睡魔が襲う。

時間は深夜。明日も学校だ。

「ふわぁ…。」

帰り道。大あくびをしながら歩く。

明日，初授業なのに，眠っちゃわないかな，大丈夫だろうか…。

でも，昨日話した大沢くん。

友だちができたことが，嬉しくて。

不安よりもワクワクの方が大きかった。

・

玄関から見たら，家は真っ暗だった。

おそらくもうみんな寝たんだろう。

お風呂に入ろうと，脱衣所に向かうと…，

「…ん，あれ和也くん?」

「……あ，お前かえってたんだ。」

トイレからでてきた和也くんが，一瞬こちらを見て，薄笑いした。

「…ま，たいへんだろーけど頑張れよ。」

馬鹿にしたような笑み。

その言葉は，皮肉で言ったってことくらい，安易に分かった。

そういえば，予習もしなきゃいけなかったんだ…。

高校は特待生でいった。だから，授業料が半額なのだ。
もし特待を取り消されたりしたら，お金が足りなくなってしまう。

成績が落ちて，
特待がなくなったら，

俺は，高校に行けなくなるのだ。

眠い目を擦って，お風呂のあとにした勉強。

結局布団に入ったのは，3時前だった。