*Bonds*16

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翔side


・


様子がおかしい。

そう分かったときには、もう遅かった。


真っ白な楽屋の床に広がる『それ』は。

俺の心に、大きな衝撃を与える。




「まつ…じゅ…んっ…。」

声が震える。


雅紀も目を見開いて。


震える拳を握ってる。




喉が渇いたように声が出ない。

驚きと恐怖が支配する。


そう…。

松潤は、吐血した。


たくさんの血を……





＿＿＿吐いたんだ。




「おぇっ…ううぇ、げほっ…んんぅっ。」


そうしている間にも、何度も吐き続ける松潤。

ようやく、はっとしたように、体が動き出す。





「雅紀っ。マネージャーに連絡入れてっ。」


「あ…ああ、うんっ。」




ショックを隠しきれないようで、涙を目にためた雅紀は、
慌てたようにポケットからスマホを出した。


しゃがみ込んで、松潤の目の高さに合わせる。

「松潤っ……。」

「……っ。」




俺の声に、一瞬驚いたのか、体がびくついた。



「気持ち…悪く…ないっ?」

「……んなさ…っ。」

「なんて…?」





なにか、やっとの思いで、松潤が何かを伝えてきた。


もう一度、耳を澄ます。

「ごめ…っなさ…い…。」




自分の状況で焦ってるはずなのに。

何度も、俺に謝罪の言葉を紡ぎ始めて。



俺の目から、



涙があふれた。

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