*Bonds*16

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翔side


・


「胃腸炎ですね。発症したのはいつ頃でしょうか。」

「…松潤。今日？」

「ん…っ熱は…昨日。」

「え。今朝も熱あったのに，仕事行ったの？」


少しだけ，気まずそうに，下を向いたまま，
松潤がコクンとうなずいた。



「下痢の症状は出てないみたいですが，おそらく嘔吐は明日いっぱいまでは…。ですので，明日の仕事は休まれてください。」


「あ…のっ…。」

小さな声がして，
医師の目がそちらに向く。


「どうされました？」

「…仕事。行きたい…のでっ，おれ…だいじょーぶ…ですから…っ。」

「松本さん。」


優しい瞳で，医師が語りかけた。




「本当は胃腸炎って，こんなに熱上がらないものなんです。こんなに上がったのは，疲労とか，頑張りすぎたことが原因。」

「そう，だから…さ。たまにはお休みもいいんじゃない？」



それに……。


それに，さ…。




「知念がね。お前のこと，『尊敬してる』って言ってたの。」

「へ？」

「だからさ。そんくらい，松潤は頑張ってるんだから。早く元気になって，知念に『もう大丈夫だよ』って言わないとね。」

「……尊敬…か。」


少しくすぐったそうに，松潤が微笑む。



いつもみたいなイケメンな笑顔じゃなくて。

こういう，天使みたいな笑顔も，可愛いな…って。



チラリと心の片隅で思った。



end

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