*Bonds*16

５ ページ11

雅紀side


・


「そんで，２人はー？」

「えとー，智はね。薬局で咳止め買ってきてる。そんで，翔は……。」


不安そうな視線が，キッチンの方に移って。

ああ，そういうことか…と，



簡単に分かってしまう。


「料理…してんのね？」

「そー。」


キッチンの片づけ大変そうだなぁ…とか，
キッチン汚くしたら，潤が怒りそうだなぁーとか。


いろんな不安をかかえたまま，とりあえずキッチンを覗く。



「翔。」

「翔…。」


２人そろって，思わず出た言葉。



「え…。」


こちらを向いた翔が，顔を真っ赤にする。

「ちがっ，これは…！卵焼きじゃなくてっ，スクランブルエッグ。」

「……。」

「げほっ…ごほごほっ…んふふ。」



全く…さー。


俺，昔言われたことがあるんだよ。

地域の人に，





「あなたのお兄さんは，なんでもできていいわねぇ。」


って。




…けど，俺は，そんな完璧な翔じゃなくて，



「……///見んなよー。ってか和笑いすぎ！」

少し不器用なところもある翔が良いんだけどね。


・


「うらっ，おい馬鹿ーっ。翔兄下りてこい！」

……結局，その日の晩は，


予想通り聞こえてきた，潤の罵声。




しばらくお説教だけど，翔，頑張ってね。

そして…



「げほっ，ごほ！」


和も。

早く治してね。



end

心に灯りを→←４

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す