ホグワーツ2度目の学生生活《秘密の部屋②》 (ページ8)

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50年前③ ページ8

トムの態度は淡々としたものだった。
見方を変えれば常に冷静で落ち着いた様子だが、何だろう...。
彼を見てからというもの、何か胸騒ぎがするんだ...。

ハグ「こいつじゃねぇ！アラゴグは誰も殺しちゃいねぇ！」

ハグリッドは箱の方へ1歩後退る。

ト「怪物はペットにはなれないんだ。さぁどいて。」

ハグ「嫌だ！」

ト「どくんだハグリッド！」

トムは杖をその箱へ向けた。

ト「システム・アペーリオ！」

そして大きく振るうと同時に、箱が音を立て開く。
煙が上がり、隣にいたハリーは固唾を飲み込んでいた。

『っ...あ、れは...』

開いた箱から何かが素早く這い出てくる。
蜘蛛だ。大きな蜘蛛が箱を下り、床を走り去ってゆく。
僕はその蜘蛛を必死に目で追った。

ト「アラーニア・エグズメイ！」

後方から聞こえた蜘蛛への攻撃呪文。閃光が僕とハリーを横切り、逃げる蜘蛛の側へ直撃した。
しかし蜘蛛には当たることなく、やつはそのまま暗い地下牢の奥へと消えていった。

ハグ「アラゴグ！」

ハグリッドは蜘蛛を追おうとするが、すかさずトムが杖を向ける。

ト「行かせないぞ。君は杖を取り上げられ、退学させられる。」

その言葉にハグリッドは酷く落胆していた。

『っ...、っ...？』

...これが、50年前に開けられた秘密の部屋なのか？
本当に、ハグリッドが？あの蜘蛛が怪物なのか？

『はっ...？...ぅ...』

何故だろう、先ほどから妙に息苦しい。
目の前で繰り広げられた一連の出来事に、僕の体が拒絶しているかのようだ。
僕の手を握るハリーはその様子に気付き、僕へ心配の眼差しを向けていた。

ハ「A...？ねぇ大丈夫？」

『っ...は、ハリー...』

その刹那、僕らの体を光が包む。体が引っ張られる。
トムとハグリッドの姿が遠ざかってゆく。
僕は酷い息苦しさの中、遠くに見える2人の影を見た。
杖を向けるトム、俯くハグリッド。

そして、そこへ割って入る3人目の影。

視界が完全に遮られる直前、たしかにその声は聞こえた。

？「待ってトム...！」

『っ...！』

気付けばそこはグリフィンドールの部屋だった。
僕もハリーも呼吸を荒げながら、机の上に置かれた日記へと目を向ける。
そこには白紙の日記。まるで何事も無かったかのように置かれた日記があった。

ハ「A...大丈夫だった？」

『...うん...。でも、ハリー...今の...』

僕の言葉にハリーは大きく頷いた。

ハ「......ハグリッド、だったんだ......。」