【 歌い手 】おやすみ 。【 あほの坂田 。】

# あ し た ページ5

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｢ 私ね ､ 夜が苦手なの ｣

さ ｢ 夜が … ? ｣


不思議そうに だけどしっかりと聞いてくれる優くん 。


やっぱり好きだなぁ 。


だからこそ ､ 怖いんだけど 。



｢ 私ね ､ 優くんと一緒にいる時間がすごく大好きで ､ 優くんが大好きなの ｣


さ ｢ へへ ､ 照れるやん … うん ､ それで ? ｣


｢ 好きだなぁ ､ って 幸せだなぁ ､ って思うんだけど 夜になると もうこの幸せな1日は終わっちゃったんだなぁ って 寂しくなる ｣


さ ｢ … うん ｣


｢ 今このまま眠って明日起きたら ぜんぶ無くなっちゃうんじゃないか って … ｣



1日が幸せだった大きさと比例して 不安も大きくなる 。



｢ 朝 起きたら1人だから … あぁ ､ 昨日はやっぱり昨日で終わりなんだなぁ って ｣


話している間も どこか不安になって そして私の声以外に音がなくて ､ それがまた不安を煽る 。



優くんが ､ 私を引き寄せた 。



さ ｢ ずっと不安やったんやね ｣



そう言う優くんの声は 少し弾んでいた 。



さ ｢ 寝れないほど不安になるくらい ､ 俺のこと大好きでいてくれたんや ｣



重くて引かれるかな ､ とか思ってたら むしろすごく喜んでくれて 。


それに 優くんも不安だってことは それくらい 私のこと好きでいてくれるってことでしょ ?



｢ 昨日ね ､ よく眠れたの 。なんでだと思う ? ｣

さ ｢ 当てるで ｣


自信満々に言って リビングを指差した 。



さ ｢ 俺のコート ぎゅーってしたから やろ ? ｣


｢ … うん ､ 優くんの匂い 安心した ｣


さ ｢ めっちゃかわいかった ｣



2人で顔を見合わせて笑う 。



さ ｢ 寝よっか ｣

｢ … うん ｣



寝る直前に 幸せが増えた 。寝れるかなぁ 。


不安になりながらベッドに潜り込むと ､ 優くんが両手を広げてこっちを向いた 。




さ ｢ おいで ､ ぎゅーってしたる ｣


かっこよく笑う優くんは 躊躇っていた私を優しく引っ張って 腕の中に収めた 。



毛布なんかより ずっと温かい 。



さ ｢ こうすれば 起きても幸せやろ ? 明日の不安なんか考えんでも大丈夫や ｣


｢ うん … そうだね ､ 幸せだ ｣




さ ｢ 俺ら 似た者同士やね ｣


｢ 怖がりで お互いに大好きなとこ そっくり ｣


ふふ ､ と2人で笑い合う 。



さ ｢ 眠れそう ? ｣

｢ うん ｣




さ ｢ ん ､ なら おやすみ ｣

｢ おやすみなさい ｣



ねぇ優くん 。


私ね ､ 明日が楽しみで眠れたの 初めてだよ 。



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