【 歌い手 】おやすみ 。【 あほの坂田 。】

# す れ ち が い ページ18

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玄関まで出てきた優くんは不機嫌だった ｡


｢ どうしたの … なんかあった ? ｣

恐る恐る聞いてみれば ｢ A ｣ と言い そっと顔を上げた ｡


さ ｢ 今日 … なんでうらさんとおったの ｣

｢ !! ｣


見られて ､ た ?


『 うらさんといたの ? 』ではなく ､
『 うらさんといたのは なんで ? 』と聞いてくるあたり ､ きっと確信があってのことだろう ｡


｢ み ､ みてたんだ ｣

さ ｢ なんで って聞いとるんやけど ｣


これは相当怒っている …… ｡


けれど 私としては 優くんに内緒で用意したプレゼントが ここでバレてしまうのは避けなければいけない ｡


｢ ちょっと … 出かけてただけだよ ｣

さ ｢ … うらさんとおる方が楽しいん ? ｣


… なんでそうなるの ?


何も言えないでいると どんどんヒートアップしていく優くん ｡


｢ 待って優くん 違うの … ｣

さ ｢ 何が違うん ? 楽しそうやったやん ｣

｢ そうじゃなくって … その ､ ｣

さ ｢ まぁ俺にあんま甘えてこんもんな ? うらさんの方が Aも楽なんやないの ? ｣


｢ 待って ってば !! ｣


冷静さ なんてものはもうなくて ｡


ただただ悔しかった ｡

私は優くんのことをずっと考えてたのに 勝手にそうやって決めつけられるなんて ｡


さ ｢ 言い訳なんか聞きとおないんよ !! ｣

｢ もう知らない !! ｣


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窓からはとっくに月が見えていた ｡

お互い 変な意地を張っているのか ､ 私も部屋から出なかったし 優くんもそのまま部屋にいるだろう ｡


床に置いたトートバックから 少しだけ見えるラッピング ｡


正直に言えばよかったのかな ｡

でも私の話聞こうともしなかったのは優くんだし ｡


ぐるぐる ぐるぐる ｡


………… このままは やだ ｡


ほら ､ こんなこと起きたら もっと不安だから 眠れないじゃん ｡

もしかしたら 明日 別れるのかな とかさ ｡


だから優くん ｡
いつもみたいに 一緒に寝たいよ ｡


バングルの入った箱を掴む ｡

いっぱい考えて浮かんだ言葉 覚えてないけど ｡


会いたい ｡


気合いを入れて 勢いよく扉を押した ｡



バンッ !! さ ｢ いったぁぁぁぁあ !! ｣



… え ?


突然の叫び声に 驚いて声の主を見る ｡

扉の前で体育座りしていたであろう優くんが 涙目になりながら 頭を押さえていた ｡


｢ … わっ ごめん !! ｣


ようやく気付いた ｡
優くんに 自分が扉をぶつけたことに ｡



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