〆5:名前 ページ7
A「…………は?」
一瞬、意味わからなくて思考が停止した。
彼は今、なんて?
こんな軽い口調で、なんて?
「付き合ってみない?」
……なんで?
A「…………あの、なんで?」
「いいじゃん、俺と付き合った方がもっとわかるっスよ。間近で見れるんスよ」
A「…………は、ぁ」
「本気じゃなくていいからさ。……ね、楽しそうでしょ?」
A「楽しそう……?」
楽しくは、なさそうだ。
私は首をかしげてから唸る。
確かにこの人と近くにいればドロドロした恋愛というものをより深く知ることができる。
でも、生憎私はこの人個人には興味がないし、好きでもないうえに気になっていもいない。
そのうえで付き合うということは、彼のことを本当に好きな人から恨まれるということだ。
それはリスクが高いような気もする。
A「……ぅーん……」
「随分悩んでるっスね」
A「取材をできるのは嬉しいのですが、貴方の無数にいる彼女ににらまれるのはごめんですね」
「ちょ、無数にはいないっスよ」
唸っている中で考える。
いやしかし……その「うらみ」をみるのも仕事のうちなのではないか。
私はいじめにあっても、これが仕事なのだと思えば痛くもかゆくもないし……。
うん、それがいい。
この人と付き合って、女の人の「ドロドロ」も含め、恋愛感を観察しよう。
私はひとつうなずく。心は決まっていた。
A「貴方と付き合うなんて、まっぴらごめんですけど、
『取材のために』
1か月ほどお付き合いをしてくださいませんか?」
「わー……潔いっスね」
A「すべてはいい小説作りのためです。」
「楽しそうだし、いっか。……で、アンタ名前は?」
A「……あ、そういえば。」
私たちはまだ、お互いに名前をしらない。
それなのに偽とはいえ、恋人のような関係になってしまったのだ。
なんか不謹慎だったな、と心のなかで思いつつも、私は自身の名前を口にする。
「へぇ、Aちゃん……ね。よろしく。
あ、俺の名前は言わなくてもいいっスよね?」
A「名無しさんとお呼びして構わないのであれば」
「え、いや……。あ、そうか……アンタ、別に俺のストーカーってわけでもないし
このマイペースさだもんなぁ……知らないか。
俺の名前は黄瀬涼太っス。
これからよろしくね。恋人さん」
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鎖月零(プロフ) - Flower*さん» コメントありがとうございます!一章は割とラブコメしてますwあの塩しかないツン99%の琥珀ちゃん可愛いとは!変わり者ですね!?((頑張ります! (2017年6月30日 12時) (レス) id: e5c976073b (このIDを非表示/違反報告)
Flower*(プロフ) - 今、一章のほうを読み終わりました!めちゃくちゃ面白いです!塩対応夢主ちゃん、可愛すぎます。続きがきになりますね( *´艸`) これからも頑張ってください!! (2017年6月30日 0時) (レス) id: 4d95f4e8a2 (このIDを非表示/違反報告)
鎖月零(プロフ) - xx00xx4280さん» ありがとうございます!伏線回収まで時間かかりそうですが、なんとかいいエンドをつづれるように頑張りますので、今後もよろしくお願いします!! (2017年4月26日 16時) (レス) id: a33d034fdf (このIDを非表示/違反報告)
鎖月零(プロフ) - ねこ汰。さん» コメントありがとうございます!きゅ、キュンキュンしますか?うれしいです。少女漫画のノリを目指しているので!更新頑張ります! (2017年4月26日 16時) (レス) id: a33d034fdf (このIDを非表示/違反報告)
xx00xx4280(プロフ) - お上手です!伏線を回収して上手くエンドを迎えられるようにお祈りしております。 (2017年4月9日 21時) (レス) id: ceb43f3a9d (このIDを非表示/違反報告)
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