58 鮫 ページ13
「用済みだ」
「ボスが直接手をくださらなくても」
「僕がやってこよーか？」
そんな物騒な会話を聞いていると、チェルベッロさんから現れて獰猛な海洋生物＿つまり、鮫が放たれたと告げられた。
はっとしてスクリーンを見ると、まだ脳震盪から回復できてないスクアーロさんが倒れている。
だめだ、このままじゃ……
私は今すぐにでも飛び込んでいきたかった。全力で風を使えば鮫を撃退することだってできるのに。
それが出来ないのは、堪らなく胸が痛んだ。
生命の保証はされていない、と残酷なことを口にしたチェルベッロさんに、山本は傷だらけの体でスクアーロさんを担ごうとしていた。
「普通助けね？」
『…いいやつだな…』
ボソリと呟いて、私はヨロヨロの山本に手を貸したくなる。あーもう、心臓痛い、死ぬ。破裂するんじゃないのっていうぐらいに。
例えどんなに遠くでも、血の匂いを敏感に反応して追いかけてくる鮫は恐ろしいものだ。しかもヒレを見るだけでも相当サイズがでかかった。
鮫は体当たりで彼らの足場を崩していた。
「剣士としての俺の誇りを、汚すな」
ああ、きっと、そう言ったのだろう。
山本に暴言を吐きながらも安全な場所へ彼を蹴り飛ばしたのに、スクアーロさんはただ瓦礫に体を預け足掻こうともしなかった。
「ガキ…剣の筋は悪くねぇ、あとはその甘さを捨てることだぁ」
そう最後に言って、スクアーロさんは鮫に食われる。
……一瞬だけ、彼が私に向かって笑ったような気がした。そして、きらきらと輝く銀髪が視界に入ったらもう、我慢が出来なくなった。
『スクアーロさんっ！！』
もう、声は届かない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 204人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しゃけ(プロフ) - アッこれ2年も動いてないんですね……続編に進んでみたものの、続きがないからこれ以上は読みたくないという気持ちがあって本当もったいないです…… (2020年5月26日 20時) (
レス) id: 9cd1e2c3d2 (このIDを非表示/違反報告)
サトー(プロフ) - 桜さん» お久しぶりです、いつもコメントありがとうございます！相変わらずの更新ペースですが頑張ります… (2018年1月25日 0時) (レス) id: 6beedd7056 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - お久しぶりです！ 霧戦終わりましたね。残るはあの守護者戦。どうなるかドキドキです！ 無理せず自分ペースで更新してくださいね。待ってます！ (2018年1月24日 18時) (レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
サトー(プロフ) - 桜さん» 更新遅れてしまってすみません…あとありがとうございます！絡みを考えるのが一番楽しいです (2017年10月7日 22時) (レス) id: 06798f4f12 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 待ってましたー！ 本当に一話ごとで笑ってますｗ ボスとの絡みが楽しいですね！ これからも応援してます！ (2017年10月7日 18時) (レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サトー | 作成日時：2017年4月6日 10時
