【 歌い手 】保健室 。【 センラ 】

− 4 日目 ページ26

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それは突然 。去年の夏頃 。


教室へ入ると たくさんの目が私を見つめていた 。見覚えのある ､ その嫌な目 。


もう二度と聞きたくなかった あの言葉 。



『 あの子 先生に気に入られようとしてるんだって 』
『 中学のときから 先生のこと味方につけてたらしいよ 』



息が詰まりそうだった 。
やっと 解放されたと思ったのに 。


あの時の中心の彼女は 別の高校に通っている ｡

私には いつ どこで 誰が その噂を流したのか分からなかった 。



全員が敵に見えた 。



浦田先生は人気だったから 元々 私のことをよく思っていない人はたくさんいた 。

今だ ､ と言わんばかりに向けられるたくさんの敵意と またか ､ という絶望感 。



その日 私は初めて学校から逃げた 。



涙は出なかった 。

無断欠席の罪悪感と ､ 楽しかった生活を失った喪失感 。

夢の中に逃げるように 何度も何度も 起きては眠った 。


インターホンの音で その日 何十回目かの目覚め ｡ 時計を見れば 18:00 。


画面に映ったのは 浦田先生だった 。


もし あの噂が先生の耳に入っていたら ?
もう嫌われているかもしれない 。
今も『 担任だから 』来ただけで 。


… 結局は私が怖かっただけ 。
浦田先生は何も悪くないのに ､ 信じることができなかったんだ 。


｢ … かえってください ｣

う ｢ … 水城 ? なんで … ｣
｢ かえって !! ｣


もう戻れない 。

画面に映った 浦田先生のひどく傷付いた表情を見て そう思った 。


ごめん 。ごめんなさい 。


う ｢ なんかあったんでしょ ? ｣
う ｢ なんでも聞くから 。力になるから ｣


｢ ……… もうそれは聞きたくない … ｣


最低だ ､ 私 。

浦田先生は1時間も玄関の前で待っていた 。



う ｢ ポスト !!! ｣


帰り際 ､ 浦田先生はそれだけ叫んでいった 。


姿が見えなくなったのを確認して 外に出る 。


ポストを見れば かわいらしい 淡い黄緑色の封筒が入っていた 。

部屋に戻って 封筒を開ければ ､ 1枚の便箋に 綺麗な字が並んでいた 。



♧

水城へ

教室が辛いなら 無理に来なくてもいいよ
保健室登校って手もあるんだからね
保健の 瀬良先生 知ってる ? すっごい いい先生だよ ､ 1回 話してみて

どんな形でも 俺はまた水城と話したいな
待ってるから

今日 来ちゃってごめんね

浦田より

♧




ボールペンで書かれたその文字は いつの間にか滲んでいた 。


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やっと過去編おわった … !!!

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