情 ページ40
紺炉さんは途中から歯を食い縛りながらそこまで話してくれた。
普段なら怖いと感じる紺炉さんの目付きは今は全く怖くなかった。
ずっと独りだった、東は最期に言った言葉。
私の心にはその言葉が媚りついて離れなかった。
浅草に育てられ、皆から慕われていた。
紺炉さんは確かにこう話した。
沢山の情を持たれていたし、持っていた……。
……。
ああ、そういうことか。
情だからこそなんだ、独りだと感じていたのは。
情は情けとも書く。
情け、気持ちそれは人の心にある感情。
家族や親子なんて枠組み嵌まってない。
捨てようと思えばいくらだって捨てられる感情。
優しさ、慈しみの感情で育った東はそういった感情の脆さ、儚さを分かっていた。
だから不安だった、自ら独りだと口言するくらい。
切り捨てられたくないから独りになった。
紺炉さんや周りからすれば東はずっと仲間で家族だった、けれど安心できなかったんだ。
志保さんと東はそんな孤独感に共鳴し合ったのかもしれない。
「独りなんかじゃなかったのに。」
「「……。」」
東は最期に独りじゃないと思えたんだろう。
彼には家族が出来たのだから。
情けとは違う愛情を与え、与えられる事を経験したんだ。
情によって独りになった男は、情を持って人を助けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 158人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「転生」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ウォールナット(プロフ) - イッヌの毛さん» コメントありがとうございます！とっても励みなります。更新頑張りますね。 (2020年10月22日 19時) (
レス) id: 566bbd72fa (このIDを非表示/違反報告)
イッヌの毛 - 面白いですね！更新楽しみにしています！ (2020年10月22日 16時) (レス) id: e2d97a71dd (このIDを非表示/違反報告)
ウォールナット(プロフ) - 外し忘れていました。教えてくださりありがとうございます。 (2020年10月9日 19時) (レス) id: 566bbd72fa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ウォールナット | 作成日時：2020年10月9日 16時
