幸福 ページ35
「聞かされた時はかなり驚いた、」
「自分が兄貴の様に思ってた人が知らない間に恋人作ってたんだ。」
紺炉さんは楽しい思い出話をするかのごとく話した。
私と頭はそれを静かに聞き続ける。
「俺が黙っていたせいもあってか夫婦になるまで二人の関係に気づいた奴はほとんどいなかった。」
堅物女と呼ばれた志保さんと浅草の中で慕われていた東。
とんだ電撃結婚だな。
実際その通りだったらしく婚儀ギリギリで二人の関係はやっと日の目見たらしい。
二人の結婚は東が鴫沢家に婿入りする形で進められた。
一体いつ、どこで、どんな風に出会ったのかと、かなりの人が色んな方向から探った。
が、結局何時も東の「俺から軟派だ、」で探りは終いを告げた。
二人の出会いは二人だけの秘密、そんな暗黙の了解が生まれた。
凸凹な新婚の生活はどんなものかと紺炉さんも少し気になったらしく何度か様子を見に行ったそう。
生まれてからずっと詰所に住んでいた東の新居は長屋の一室。
そう私が詰所に移り住む前に居た長屋だ。
酒好きの兄貴分が迷惑かけてるのでは、そんな紺炉さんの予想は一瞬で裏切られた。
穏やかな生活、優しい時間、どれも詰所のそれとは違うもの。
「東の兄貴のあの安らかな顔は忘れられねぇ。」
独りだった男と女は家族になった。
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ウォールナット(プロフ) - イッヌの毛さん» コメントありがとうございます！とっても励みなります。更新頑張りますね。 (2020年10月22日 19時) (
レス) id: 566bbd72fa (このIDを非表示/違反報告)
イッヌの毛 - 面白いですね！更新楽しみにしています！ (2020年10月22日 16時) (レス) id: e2d97a71dd (このIDを非表示/違反報告)
ウォールナット(プロフ) - 外し忘れていました。教えてくださりありがとうございます。 (2020年10月9日 19時) (レス) id: 566bbd72fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ウォールナット | 作成日時：2020年10月9日 16時
