専用目覚まし時計 【 古謝那伊留 】

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鼻を燻る陽射しのような暖かい匂い。


ふわり、とした感触を感じて、

ふと手に温もりをも感じる。



「ん…っ」



ズキリと痛む頭、そして足や腕。

全身に気だるさかまとわりついていて、目を開けるのもやっと。



「っA！！？」



ギュウと握りしめられる手。

その手は、幼い頃の手よりも大きくなっているのに同じ感触で。


ぼやける視界には、だいすきな人がいた。



「良かったぁ……」



少し眉毛下げて、口半開きで、心配してくれてるのが丸わかり。

そんなところまでもが愛しくて、
本当に切なくなる。



「ここ保健室？」


「そやで、倒れてたって言うてた」


「…あちゃあ、」



やっぱりご飯抜いて、雨に打たれて、散々やったから、体壊してもうたんかな。


「あちゃあ、ちゃうわアホ」



パシ、とおでこは叩かれ
私を叩いた人は、重いため息をつく。



「どんだけ心配したと思ってんねん。風邪ひいとるわ、階段から落ちるわ」


「…なっ。そっちやって、わたしに何も報告せんで…！一番応援してたんやけど？！」


「報告せんかったのは、あーそれは…」


「なんやの」


「…Aと連絡取ったら、その…○※◇%」


「もう聞こえへん、！」



肝心なとこだとモゴついて。
わざとか、あほ。



「お前に会いたくなんねんて」


「…え？」



何度も言いたくないから、そう言って口を腕で隠した。

真っ赤な耳は丸だしで。

　


　
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