18時限目 ページ21
「あのですね、紅麻、あまり気を張りすぎなくてもいいと思うんですけど」
「わかってる、分かっているのだそんなことは！」
階段下、踊り場で二人は、これからの『方向性』について語り合っている最中だった。
「だってあんな偵察の仕方じゃあ不審者でしょ」
「ぐっ.....俺とて、何も合唱部を廃部にしたい訳じゃない！
やつらが熱心に練習しているところを納めたかったんだ。
そして証拠をお前のおじいさまに見せる」
そう言うと紅麻は、懐に忍ばせていたカメラを取り出した。
本人は気づいていないのだろうが、一眼レフは懐にしまうようなものではない。
「で、納められた？」
「いや」
「どうするんですかぁ」
「どうするかなぁ」
うーんうーんと頭を捻らせたり逆立ちしてみたり、
逆立ちしながら頭を捻ってみたりもしたが一向に良い案が思い浮かぶ気配もない。
副会長である翠蘭の祖父、つまりこの学園の理事長は昔から頑固なことで有名で、
一度きめたことはなかなか覆さない人間だ。
それは幼いときからその背中を見てきた二人が一番よく知っている＿＿＿＿＿＿。
「こうしよう！」
「おっ」
背筋を鍛えるエビ反りをしていたところで、紅麻が提案する。
「合唱部に許可を取る」
「はじめからそうすればよかったのでは？」
「合唱部を生徒会新聞に掲載して注目度を得る！」
「おお、すごくまとも。」
ぱちぱちと翠蘭の拍手がなる踊り場で、生徒会長は決意を固める。
合唱部が努力しているのは知っている。成績も延び続けているのだからここで潰してしまうのはもったいない。
もともと文化部の少ないこの男子校で、一致団結して取り組んでいたではないか。
紅麻の黄金に輝く瞳の中に炎が灯る音がした。
「それにしても......あの1組の......寺田だったか......
一瞬で我々の存在に気がつくとはなかなかやるな」
「まあそれは......隠れもせず堂々と向かってた訳ですから見つかってもおかしくないかと」
「ほう、やはりそれがいけなかったか....。ほっかむりにしておくべきだったか」
じろりという目が紅麻に浴びせられる。
「まさか、ツッコミ待ちしてます？」
「バレたか？」
こちらもなかなか、本当に濃い二人組だった＿＿＿＿＿＿。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 104人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ファイアー@宝石の国沼(プロフ) - いずれ祐希くんは男子校ハーレムになるんやろな.....(遠い目) 関係ないけど会長と副会長ってできてるよね.....(クソ作者) (2019年5月1日 22時) (
レス) id: 0900a9cb6c (このIDを非表示/違反報告)
neko.lo#(プロフ) - ファイアー@宝石の国沼さん» 祐希君が攻めだとやっぱりおねショタの逆ですかぁ…おねショタみたいな二人の関係の進展が楽しみですね!もう一回言いますが、大変だと思いますけど頑張ってくださいm(_ _)m (2019年4月15日 17時) (レス) id: a21c89c03e (このIDを非表示/違反報告)
ファイアー@宝石の国沼(プロフ) - neko.lo#さん» これからも二人を中心としたドタバタラブコメとして更新頑張りますので、よろしくお願いします！ (2019年4月15日 6時) (レス) id: 0900a9cb6c (このIDを非表示/違反報告)
ファイアー@宝石の国沼(プロフ) - neko.lo#さん» わはーコメントありがとうございます！！ 小此木先生は乙女(？)ですからね....やはり祐希君が攻めになるのだろうか....と思ってます。 おそらく先生はもう少し男を見せてほしいと思ってるでしょうねw (2019年4月15日 6時) (レス) id: 0900a9cb6c (このIDを非表示/違反報告)
neko.lo#(プロフ) - ごめんなさい、好み的には でした(' ';) (2019年4月15日 1時) (レス) id: 79242aa2d1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ファイアー@橙蛙不二周助の人 | 作成日時：2019年2月16日 11時
