星空。 ページ39
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「………………。」
音を立てない様に 静かに玄関に向かう。
外に出ると、夜の冷たい 澄んだ空気が 私を包み込む。
慎重に 屋根の上に登る。
手足が不自由ということもあって、初めは中々登れなかった。
だが、今ではもう お手の物。
屋根の上に登ると 何時も通り仰向けに寝そべる。
此処で こうやって、星を見ることが 私の日課となった。
________この星を見るのも、これが最後になりそうだ……。
今夜も 満点の星空。
とても幻想的な風景。
美しいと感じる筈なのに、何故か悲しみが込み上げる。
静かなる静寂は、私の悲しみをいっそう増幅させた。
私は 目を閉じる。
命が尽きたら……如何なるのだろう……。
天国か、地獄か。
或いは、何も無いのではないか。
唯 真っ暗な闇を 只管 光を追い求めて彷徨い続けるのではないだろうか。
微風に吹かれ、考える。
___________「わァ…。こりゃあ 素晴らしい星空だ。」
突然 声が聞こえ ハッと目を開ける。
よっ… そう小さく呟き、最も簡単に上へ上がって来たのは…………。
「……太宰さん。」
彼は 微笑みと、ゆっくりと私に歩み寄る。
ギシッ と屋根が音を立てる。
彼は少し驚いた表情をし、口元に指を添えて 慎重に私に歩み寄る。
私の隣まで来ると、彼も私と同じ様に寝そべった。
太宰「……良い所だね。星空が一望できる。」
彼は そう云うと 目を閉じて微笑んだ。
私も、静かに目を閉じる。
風に揺れる 木々の音だけが、辺りに響いた。
__________「…………A。」
彼は徐に 私の名を口にする。
「……何ですか?太宰さん。」
訊き返す私。
彼は、少し黙り込んでから 私に云った______________
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Baku - 湯豆腐さん» 読んで頂き、有難うございました!続編も宜しくお願い致します! (2016年6月10日 6時) (レス) id: f1f76f5060 (このIDを非表示/違反報告)
湯豆腐 - 泣ける…最期が切なすぎます…(泣) (2016年6月9日 23時) (レス) id: 08d6bd47da (このIDを非表示/違反報告)
Baku - さきさん» 有難う御座いました!続編もあるので 是非其方の方も読んで頂ければ幸いに存じます! (2016年6月8日 22時) (レス) id: f1f76f5060 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 感動しました。ついに終わってしまった…。 (2016年6月8日 22時) (レス) id: ee43672b67 (このIDを非表示/違反報告)
Baku - 作品を支えてくださった皆様、本当に有難う御座いました。続編『刹那の想い』を連載することになりましたので 其方の方も宜しくお願い致します。『刹那の想い』で検索をかけて頂ければ 出てくると思いますので、見て頂けたら幸いです。 (2016年6月7日 18時) (レス) id: f1f76f5060 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Baku | 作成日時:2016年5月10日 21時