鏡の中。 ページ30
Side太宰
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「あと8分……!」
車を止め、急いで建物の中へ走る。
中に入ると、辺りは真っ暗で 昼間とは違った不気味さがあった。
_________鏡の前で 足を止める。
埃を被った 全身鏡。
闇を映し出した鏡は 月明りに照らされ 、黒く輝く。
此の中に……彼女が…………。
そっと 鏡に触れる。
すると_________
すッ と、鏡の中に手が入った。
波紋が広がり、まるで水に触れている様な冷たさ。
其の儘、引き寄せられる様にして 鏡の中へ____________。
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其処は……辺り一面が 鏡で囲まれた 先の見えない 長い 長い 道。
「………A……。」
彼女の名を呟き、深呼吸をして 走り出した。
辺りに見えるのは、鏡に映った自分の姿。
其の 一つひとつが、まるで私を嘲笑うかの様に 歪んで見えた。
私は 其れ等を睨みつけ、前を向いて 走り続けた。
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もう、どのくらい走り続けただろうか。
彼女の姿は 一向に見当たらない。
其れどころか、彼女はどんどん私から 遠ざかっていく様にさえ感じた。
其れでも 諦めずに走り続ける。
絶対 彼女は此処に居る。
そう信じて、走った。
「…………!」
不意に 走るのを止め 立ち止まる。
目の前に 鏡の扉が一枚。 私を誘なうかの様に 数センチだけ開いていた。
其処から漏れる 微かな明かり。
きっと、彼女は此の奥に居る……。
私は ゆっくりと 扉を開いた。
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Baku - 湯豆腐さん» 読んで頂き、有難うございました!続編も宜しくお願い致します! (2016年6月10日 6時) (レス) id: f1f76f5060 (このIDを非表示/違反報告)
湯豆腐 - 泣ける…最期が切なすぎます…(泣) (2016年6月9日 23時) (レス) id: 08d6bd47da (このIDを非表示/違反報告)
Baku - さきさん» 有難う御座いました!続編もあるので 是非其方の方も読んで頂ければ幸いに存じます! (2016年6月8日 22時) (レス) id: f1f76f5060 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 感動しました。ついに終わってしまった…。 (2016年6月8日 22時) (レス) id: ee43672b67 (このIDを非表示/違反報告)
Baku - 作品を支えてくださった皆様、本当に有難う御座いました。続編『刹那の想い』を連載することになりましたので 其方の方も宜しくお願い致します。『刹那の想い』で検索をかけて頂ければ 出てくると思いますので、見て頂けたら幸いです。 (2016年6月7日 18時) (レス) id: f1f76f5060 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Baku | 作成日時:2016年5月10日 21時