尊敬。 ページ20
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谷崎「そういえば、Aさんは 探偵社に来る前、何のお仕事に就かれてたンです?」
中島「あ、それ僕も気になってました!」
二人のキラキラ輝く瞳に 押される。
「え…!嗚呼……それは……。」
太宰「……私と同じだよ。」
ふと、彼が云った。
太宰「Aの前職は私と同じ。……だから…探偵社七不思議の一つだね。此れも。」
そう云って笑う彼。
太宰「Aの前職を当てたら、倍の 140万が貰えるね。敦くん。」
中島「えっ!140万!?うぅ……Aさんから連想できそうな職業……。」
敦君は 悩みに悩んだ末に、こう答えた。
中島「Aさんは…太宰さんの部下とか?…職業は……ちょっと見当がつかないですけど。」
如何してそう思ったの? 私が問う。
中島「ン〜……Aさんは、太宰さんと同い年なんですよね?でも、敬語だし……。太宰さんのことを慕っているからかな〜って。同い年の部下と上司の関係かなって。」
「……半分ハズレ。半分アタリ。」
私はそう云って、ゆっくりと語り出す。
「私と太宰さんは、仕事上 立場は一緒。二人共、幹部として 働いてたから。……同じ立場なのに敬語なのは、敦君の云う通り 彼のことを慕っているから…。
……尊敬しているんです。太宰さんのこと。 強い人間になりたい。何事にも屈しない、強い心を持った人になりたい。そう思う『キッカケ』をくれたのが、太宰さんなんです。」
昔の記憶が蘇る。
弱かった私は、『彼に生きる意味』を教えられた。
私を見つめる 真っ直ぐな眼差し。
心の中の暗闇に、光が射した気がした。
『私が 生きる意味を教えてやる。 だから、強く…強く 生きてくれ…。』
その言葉は、私を支える 『糸』となった。
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中島「……Aさん…?」
名前を呼ばれ、我にかえる。
「嗚呼…ごめんなさい…。一寸 昔のこと思い出しちゃって…。」
国木田「…………『キッカケ』…か…。此奴がそんなものを与えるなんて…。」
国木田さんは、感心した様な 疑う様な目で 彼を見る。
太宰「別に…大したことは云っていないつもりだよ。」
彼は そう云って私を見る。 そして、少し笑った。
優しさの込もった、温かい微笑みだった。
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Baku - 湯豆腐さん» 読んで頂き、有難うございました!続編も宜しくお願い致します! (2016年6月10日 6時) (レス) id: f1f76f5060 (このIDを非表示/違反報告)
湯豆腐 - 泣ける…最期が切なすぎます…(泣) (2016年6月9日 23時) (レス) id: 08d6bd47da (このIDを非表示/違反報告)
Baku - さきさん» 有難う御座いました!続編もあるので 是非其方の方も読んで頂ければ幸いに存じます! (2016年6月8日 22時) (レス) id: f1f76f5060 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 感動しました。ついに終わってしまった…。 (2016年6月8日 22時) (レス) id: ee43672b67 (このIDを非表示/違反報告)
Baku - 作品を支えてくださった皆様、本当に有難う御座いました。続編『刹那の想い』を連載することになりましたので 其方の方も宜しくお願い致します。『刹那の想い』で検索をかけて頂ければ 出てくると思いますので、見て頂けたら幸いです。 (2016年6月7日 18時) (レス) id: f1f76f5060 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Baku | 作成日時:2016年5月10日 21時