アンドロイドガール、Vになるってよ。 (ページ5)

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5話ページ5

目が覚めると、そこはいつもの刑務所のようなどす黒い天井が見えた。

いつも通り7時にかけていたアラームが静かな部屋に鳴り響く。

小さな女の子がお母さんを心配で助けようとして、だけどそのすきに女の子が何者かに害される夢。

何か心境や環境の変化があったときに、よく見る。

その度に続きがちょっとずつ見えてくる。

この夢はこれで終わりなのだろうか。
女の子は生きているのだろうか。

私が今考えるべきなことはそんな事じゃない。

自分でそう思い直しながら昨日の出来事を思い出す。

約束は10時。
お偉いさんと言っていたので、どうせ己己己己さんだろう。

己己己己さんとは、いつも私達を買っていく常連のことである。アンドロイドはなかなかに高いので、人間たちは常連を重宝している。

私は今まで己己己己さんと交渉する人間の後ろ姿をただ見ているだけだった。次は私の番か。

私に出来ることなんて何も無い。

抵抗したってすぐガラクタにされる。

私はいつも通り隅で排水溝に流されていくありの姿をじっと見つめていた。

※己己己己は「いえしき」と読みます。細かな設定はないので、闇社会の人間とだけ考えていただければと思います。