リベラバビロン

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はじめまして！からっちょです。アザレアの心臓初回限定版の小説をもとに作ってみました。
自作ストーリーです。

荒々しい道を簡単だと言わんばかりの顔で進むバス。
激しく揺れている……気持ち悪い。
「っ最悪……っう。はっはき……そう。」
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪……。
頭の中でぐるぐると何かが混ぜられる感覚。頭。いや、腹の中か……。
バスの待ち時間に食べた、コンビニで買ったおにぎりが喉でスタンバイしている。やめてくれ。
バスの一番後ろ、隣の同世代らしき少年とかなりの距離をたもっている私に気づく人などいないだろう。　　　いないでほしい。
気分転換に！っと思って出かけたのだが……。気分最悪。まあ、違う意味で気分転換できたのだが。
窓を眺めていたはずの少年が戸惑った顔で、私と周りを交互に見回している。
ッスっと音を立てずに立つ次で降りるのだろうか。
ところがそのまま私のほうにむっかて来る。
すごく肌が白い。羨ましい……。よく見ると女性にも見える。目が合うとニコッとほほ笑む。
苦しむ私の隣にゆっくり座る。間違いなく男性。それも年が近い。
「大丈夫？」
外の音がすべて消える。バスにゆれる乗客が透明になりすける。「えっ。」口から自然に出てきていた。わたしとは思えない声。
彼の白い手は水色の水筒を私に差し出していた。
「飲んでください。大丈夫です、まだ口つけていないですから。」
敬語。続いて「困った時は、お互い様です。」笑顔がはじける。私は彼になにかしたっけ。
「ありがとうございます。すいません迷惑かけて。」
気づいた時にはそう言っていた。変な気分になる。水筒を握る。
「僕、次で降りるんですよ。あなたはいつおりますか？」
英語の問題文みたいな言い方だ。次のバス停はどこだったけか。次は……病院。
「そうなんですか……。私は次の次ですね。」
「次の次ですか……。えっ！？バビロンに行くんですか？。」
叫ぶように言っているが、そうには聞こえない。
「うっ。うん。お母さんの墓参りに……。」
余計なことを口走る。　重い沈黙。バビロンはこのところヤバいことはニュースで何度も見たし。
「オカアサン。ハカマイリ。……バビロン。オトオサン。」ぶつぶつと呟く彼。
何か思うところがあるのだろうか。手が小刻みに震えている。
「気おつけてください。バビロン危ないですから最近。」
「そうだね。気おつけるよ。そういえば名前聞いてなかったね！教えて名前。」
話題を変えようと必死になっている。このことは気づかれたくない。
「カンダ。神田舞。舞うって漢字でマイ。」
「私は海樹（かいき）亜梨奈（ありな）。舞君よろしくね。」
自分で言ったのだがなんだよろしくねって。バカか。
バスが止まる。いつの間にか酔いが治まっていた。
「僕、ここで降りるね。それじゃ。」
声が死んでいる。さっきとは全然違う。それでも
「うん。じゃあね！舞君！。」
明るくふるまった。彼はゆっくりうなづきバスを後にする。
あと十分バスに耐えるのか。水色の水筒は麦茶が入っていて綺麗な色をしている。
やはり彼が向かった先は病院。何か病気なのか。
水筒の中の液体を一口飲む。おいしかった。

「はぁ。やっとついた。吐くかと思った本気で。」
バスがこれでもかと音を出して私の後ろを通る。うるせぇよ。
前を向くと街がある。その周辺は、殺風景。このギャップが面白い。街は目に痛い配色をしている。
血の色のような赤色が目立つ街。趣味が悪い。
殺風景の平野とにぎやか過ぎて目に痛い街の間に立つ。
「ただいまお母さん」
バビロンへ向かう。聞き慣れた『あの歌』を口づさ見ながら。舞君のことなんか忘れて。
人が変ったように笑う。
「浅い君のうた。」悪役の用に笑みを零す。
悪役なのだから仕方ない。私は人間というレールを脱線しているのだから。
人間が嫌いだった。『彼』は人に見えた。この世界を創った。二人の神のこと。
彼はそう見えた。だから話せた。今の親は、本物じゃない。
嘘みたいな街。
嘘みたいな少年。
嘘みたいな現実。
嘘みたいな曲。
嘘みたいな私。
　
水が顔を伝う。

　　　　　　　　　　　　たすけて　　だれかきこえますか？

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