新しい出会い【TRICK of MAFIA】リルリア過去編

「そういえばリルリアってたまに狂うよね。」
「いきなり言うね。あんた。」
「いや？少し過去を思い出してね。」
ステルダはそういうと、懐かしそうに目を瞑った。あの時の光景は、目に焼き付いている。あまり、覚えていたくないのに。
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「お…かあさん？おと…うさん…?」

ーーーーーー目の前には、倒れている両親。血を流して奇妙な臭いを漂わせている両親。苦しそうな顔をしながら動かない両親。

「う…そ、でしょ？な、んで。どうして。」

部屋を見渡すと、そこには荒らされた経歴があった。多分、強盗にあった？じゃあ何故、死んでいるの？なんで？今日の朝まで、笑っていた両親が。今、動いていない。
　ーーーーーーーーー綺麗な色をした血。髪について、とても。綺麗だった。そう。綺麗だった。
「はははっ！」

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「よろしくお願いします！リルリアちゃん！」
ペコッと頭を下げられる。慌てて私も頭を下げた。
あれから少し。中学3年の私は、親戚の家に引き取られた。今は裏でマフィアをやっている。魔法も使える。でも、そんなことを言ったら追い出される。だから、絶対に言えない。ステルダ、という名前の奴が話しかけてくる。それを適当に聞き流しながら、自分の部屋を見た。住みやすそうだな、と思っていると、
「リルリアちゃんって…マフィアに入っているんだよね？」
いきなりそんなことを言われた。
「な…なんで、それを。」
「だって…同じマフィアに居るじゃん！」
ん？と首をかしげる。そういえばこの顔、見たことある。確か同じマフィアの構成員。確かに居た。
「そうだったか。」
「やっぱりそっか！なんか見覚えあったし！」
同じ構成員で親戚の奴が居たなんて。少し驚いた。

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今は、他のマフィアと戦っている最中。私は、ひたすらに、敵を殺った。
「あははははははは！！」
刺す度に、綺麗な血が出る。真っ赤な血が。吹き出る。
「もうやめてください。リーダー。」
ぐいっと肩を引っ張られる。振り向くと、ステルダが居た。私はその頃リーダーになっており、ステルダが部下になった。戦場では、狂う。治そうとしているのだが、どうしても、治らない。血を見ると、狂ってしまう。もっと血が見たくなる。そしてステルダに押さえられ、終わる。ここでも、そんなことを繰り返していた。

部屋に戻ると、ステルダがやって来た。
「失礼するよ、リルリア。」
「…どうぞ。」
終わったあと、私はとてつもない罪悪感に襲われ、暗くなる。怖くなる。
「大丈夫？リルリア」
「…大丈夫じゃない。」
震えた声で言った。これだけ相手を苦しめたら、死んだあと、地獄に行くのではないかと。怖かった。
「ねぇ…私もいつか死んだらさ。地獄に永遠と落ちるのかな」
「そうかもしれないね。地獄に行くだろう。」
はっきり言われて、少し悲しかった。

「…でも、私も一緒に行こう。」
「…は？」
「だって、貴方を一人にはさせないよ。リルリアとは昔からの親友だから。苦しい思いをしたのが一番分かるから。無理でも閻魔様に頼み込むよ。」
そう彼女は言い、笑った。私を落ち着かせるように。
「…なんだそれ。」
そんなことを言われ、急に恥ずかしくなり誤魔化した。
「本当の事を言ったまでだよ。」
「ありがと。」
「さっ、私は戻るよ。貴方の寝てね。」
「分かったよ。」
キイ、とドアが閉まる。そんなことを言われたのははじめてだ。でも、何か、変わったような気がした。不思議な気が。

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それからは、そこまで狂わなくなった。2回に1度から、5回に一度、今は10回に一度くらいになった。その時は罪悪感に襲われたが、そこまで酷くなかった。仲間がいたから。慰めてくれたから。だから、私は生きてられている。