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どうもこんにちは、漆原です。

こちらのホムペには小説を載せています。

小説の方では文字数の関係で色々不具合があるので、ホムペでやらせていただきました。

非常に読みにくいので、文字を「大」にして読んでください。

短編集と称してプレイリストを作っていますので、良ければそちらもご覧下さい。

短編集↓↓
製作中
 私は悪い奴だ。名前はリクコ。私のお母さんがくれた大事な名だ。けれどしかし、こんな素敵な名前をもらったのに、私はリクコという名前に見合うくらい素敵な人になれていない。私なんてゴミ虫だ。いや、ゴミ虫未満だ。いや、ゴミ虫に失礼だ。やっぱり、その辺に転がってる石ころだ。いや、石ころに失礼だ。とにかく私は悪い奴だ。酷い奴だ。死んでも何も変わらないような奴だ。いや、むしろ死んだほうが世のためになるような奴だ。何にも役に立たない、生きてるだけで周りに害のある毒ガスみたいな奴だ。けれど死のうとなんて思わない。思うわけがない。だからこそ私は、臆病で卑怯で、悪い奴なのだ。
 私は今の私を認めている。悪かろうがゴミ虫未満だろうが毒ガスだろうがそれで皆が死のうが生きようが、私は私を見捨てる気はない。こんな私でも好いてくれる人がいた。だから私はその人のためだけに生きている。私を認めてくれる人がいるから生きている。その人がいなければ私はとうの昔に首を吊ったり手首をシュッてやって湯を張った浴槽の中に突っ込んだりビルの屋上から飛び降りたり電車にはねられたりしているだろう。今でも想像の中ではよくしている事だが、実際にはやっていない。その人がいるから。
 だから私は生きてこれた。こんなクソが五千個くらいつくようなガキ、見捨ててしまっても良かったのに。あなたが気にすることではなかったのに。あなたの優しさを無駄遣いすることはなかったのに。あなたの評判を落とすような真似はしてほしくなかったのに。せめてこの心臓をあなたにあげられれば、恩返しができるのに。
 私はいつものように花屋で一本の薔薇を買い、悪くならないうちにと病院へ向かって駆け始めた。あなたのいる坂の上の病院まで。

 もう顔見知りになってしまった病院の看護師さんに笑いかけながら挨拶をして、402号室に向かう。今日はあの人は起きているだろうか。眠っていたら、こっそりカメラで寝顔を撮って家に持って帰ろう。とか犯罪的な内容の妄想をしながら402号室の扉をノックする。はい、という大人びた声が聞こえて、私はグッと扉を横にスライドさせた。
「や、リクコ。久しぶり」
「久しぶりっていうか、昨日も来ましたけど」
「いや、俺は時間の感覚がさ、アレだから」
 つまり退屈だったようだ。私は殿下に薔薇を渡し、前髪に触れて避けて、オデコにキスを落とした。殿下は毎日ご苦労さん、と笑ってスケッチブックを取り出した。
「寂しかったですか? 僕に会えなくて」
「うん? あぁ、そう言われればそうだね」
「絶対適当に言ってる」
「そんなことないよ。寂しかったよ。最近はデートもろくに出来てないしね。今度外出許可が出たら、映画でも見に行こうか」
 殿下はスケッチブックをめくりながらそう言った。
 殿下の容態はそう良くはないらしい。でもこの前までチューブがいっぱいついていて肌だって青白かったのに、今は点滴の管のみで、表情にも明るいものがある。外出許可もたまにもらえる。いいことだ。このまま元気になってくれないかな、って思う。殿下は重要なところは運が強いのだから。
「リクコ、これ見て」
 殿下は、自動でベッドの一部が背もたれになるベッド(あれなんていうんだわかんね)に背を預けたまま、片手で持ったスケッチブックを私に差し出した。覗いてみると、かなり精巧に描かれたカラスの絵。多分、窓から見える電線にとまっていたんだろう。男のくせに女の私より絵が上手いなんて、正直、能力を半分わけてもらって商売がしたい。
「凄いですね」
「……それだけ?」
「だってそんなに詳しくないですから。ある一定の域を超えた凄い作品たちは、全部凄いから素人にはあまり違いがわからな」
「リクコいい匂いがする」
「……銭湯に寄ってきたんだ」
「それじゃあ、人もいないし」
「変態が」
「冗談」
 殿下は童貞だ。のはずだ。私も処女だ。のはずだ。けど殿下は女の子すぎる女の子が嫌いらしい。嫌いというか、なんとなく無意識に避けてしまうらしい。だから私も、着飾らない、『僕』を使う、友達として付き合う、の三つを心がけている。殿下はわがままなのだ。私もわがままなのだ。
 殿下はひとしきり笑ったら少し黙った。多分疲れたんだと思う。髪の毛を触るように頭を撫でたら、嫌がってそっぽを向いてしまった。靴を脱ぎながらベッドに上がる。殿下の上をまたぐ。
「疲れたんですか?」
「うん」
 殿下の腰の横くらいに両手をつき、殿下の色素が薄めの瞳を見つめる。殿下はちょっとだけ嫌がる素振りを見せたが、諦めたように私から目をそらした。
「リクコ」
「ん?」
「あのさ、俺」
 私は殿下の背もたれに右手をつけそれに全体重を移動させ、左手で脇にあった果物の籠から梨を出した。
「殿下、梨はお好きですか? 僕果物の中で梨が一番好きなんスよね」
「……………」
 梨を籠の中に落とした。多分油断した殿下の後頭部を左手で持ち上げ、首筋を舐め上げた。殿下はビクッとして身を固くする。
「……ほんとに悪い奴なんだな。卑怯者」
「ガキのくせに昼間っからさかってるいけない奴相手だから、おあいこ」
 少しざらざらとした私の舌が殿下の白い肌を這う。ちゅう、とリップ音を立てたら嫌がった。でも続ける。
 私は自分を酷い奴だと自覚している。だから、忠告はした。けれど殿下は、それでもいいと言ってくれたのだ。だから、私は嫌がられても抵抗されても構わず殿下を愛す。甘やかす。溺れさせる。
 唇を奪って舌を入れたら、殿下が苦しそうにもがいた。ま、そりゃそうだよ。普通の人よりか弱いんだから。と思いながらちゃんと息をさせてあげる。私は悪い奴だ。今酷いことをしている。今殿下を堕とそうとしている。今殿下を壊そうとしている。
「はぁっ、あ」
「苦しい?」
「はぁ……、おま……お前って奴は……」
「普通病人相手にべろちゅーするか、ですか」
「うんそう。全くもってその通り。賢いな。じゃその続きもわかるな?」
「感じちゃったからトイレ行かせろー」
「違う。いやそれもあるけど、その前に」
「女に攻められるのは得意じゃない」
「うん、優しくして?」
「襲っちゃうぞ」
 幼稚な言葉が口から漏れた。殿下はさほど気にしていない様子だったが、私が殿下に言われたらかなり本気で赤面した挙句いいでしょうはいどうぞと自ら身体を差し出してしまうようなセリフだ。殿下の脳みそは可笑しいんじゃないだろうか。
 殿下は梨を私に渡して起き上がろうとして、私にもたれかかった。
「……リクコ、これは絶対お前のせいだ」
「そうですね。一緒に行ってあげましょう」
「遠慮しとく!」
「殿下いい匂い」
 からかって満足したので殿下をお姫様だっこしてあげようと奮闘したが、やはり人間並の力しか出ない私の細腕ではダメであった。赤いキノコを食べても赤や青の花を食べても、多分私はあのスーパーヒーローのようにはなれない。スーパーヒーローの双子の永遠二番手の弟にさえなれない。
「じゃ殿下、おんぶしてあげますから。はい乗って」
「リクコくん、男の意地というものをご存知か」
「ご存知じゃありません。知ってても何それおいしいの? と言います」
 構えてても殿下が乗る様子はない。睨んでもハリセンで叩いても、動く様子はない。
「殿下。愚図ってないでほら」
「リクコはさ、いつも俺に良くしてくれるだろ。俺も、男として頼りっぱなしは嫌なんだ」
「女ならいくら頼ってもいいと?」
「んーまぁ、少なくとも、権力も腕力もない女の人は」
「殿下だって権力も腕力もないでしょ」
「でも、頼りっぱなしはなぁ……。プライドが」
「そんなくだらないもの捨ててしまえ」
 プライドは捨てたら楽になる。そう言ったら、殿下は少し俯いた。
「今は頼りっぱなしでも、元気になってから僕に尽くしてくれればいいじゃん」
「元気にならなかったら?」
「なるよ。僕がついてんだ」
 僕が憑いてんだ。
「ほら。子供が遠慮なんかしてるんじゃないよぉ、もう」
「おかんか」
 殿下は点滴のやつを持って、ゆっくりと私の背中に乗った。私は殿下のお尻をちょっと触って怒られてから、とことこと歩き出す。
 人間は、恋するし、うつになるし、自殺するし、幸せになるんだ。
 悪魔だって、いや、悪い奴の象徴悪魔だからこそ、懲らしめられたり仲良くなったり、色んなことがあったっていいじゃないか。色んな奴がいたっていいじゃないか。
 そうだろう、殿下。それをあの時教えてくれたのはあなただったね。だから私も君に、同じことを言うよ。

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設定キーワード:漆原真 , 少し不思議 , 短編集   
作品ジャンル:その他, オリジナル作品
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作者名:漆原真 | 作成日時:2013年12月4日 19時

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