いつの日か

2011年3月11日

私が五歳で兄が六歳の頃。

初めて『地震』の怖さがわかりました。

うろ覚えではありますが。

どうか聞いてください。

2011年3月11日

私は…愛犬と共に寝ていたらしいです。

祖父と父は仕事で祖母と母と兄は家にいました。

桜が咲き、家の庭には沢山のガーベラが咲いていました。

そして微かに揺れを感じ、ふと目を開けると…

慌てて準備をしている祖母。

私と兄を抱えて急ぐ母。

家を出てすぐに見たものは

…津波。

後ろからついてきている水は茶色く濁って、今にも飲み込まれそうでした。

私と兄を抱えて走っている母は、愛犬を連れ、避難所に急ぎました。

私は、後ろから連いてくる茶色く濁っている水が
自分達の家や庭を呑み込んでいくのをみても、泣かなかったらしいです。

それは、私が精神的な病だったから。

私は一歳の頃から精神的な病だったら、泣けなかったらしいです。

心では悲しいのに、辛いのに、言えなくて…

そう感じていると、愛犬が転びリードが取れ、津波に呑まれていきました。

母は涙し、愛犬のリードを手首に巻き急いで避難所まで走り続けました。

そのお陰で私たちは助かりました。

でも…愛犬が死んでしまいました。

今でも、そのリードは持っています。

少しはだけ、色も落ちてしまったけど、大事なものです。

……………

そして、震災から7年

私達は引っ越しました。

今では、精神は落ち着き、今こうやってポムペを書いています。

………でも、思い出すだけでも辛いです。

そして、今日、2018年3月11日

私の隣の家だった人が出産をしました。

新しい命でした。

そして私は、思います。

『花は咲く』と言う歌をご存じですか？

私は、花は咲くの歌詞の意味を少しわかった気がしました。

ちょっとだけ、書きます。

「私は、懐かしいあの町を思い出す。」
これは簡単です、『懐かしいあの町』とは、被害にあった町、津波や地震によって壊された町のことです。

「傷ついて、傷つけて、報われず泣いたりして」

これは、津波、地震に傷をつけられて

自分達が、町が、県が傷ついて。

どんなに願ってもその思い、亡くなった人は戻らないと言うこと。

そして最後に…

「花は、花は、花は咲く。
いつかは生まれる君に。
花は、花は、花は咲く。
いつか恋する君のために。」

これは、どんなに傷ついても、気づつけられても、

花(人)は咲く(産まれる)。

凛と咲く。

そして、それは増え続ける。

そして、また咲いた花は種を飛ばす。

これの繰り返し。

私達は、”今“生きているから意味がある。

”あの日“があるから花が咲く。

私は、3.11で生き抜いた人達が、今を生きていると言うことを。

あの日が最も辛いと言うことを。

覚えていてほしい。

考えてほしい。

忘れないでほしい。

だから…

来年も次の年も…ずっと。

繋いでほしい。

知っていてほしい。

記憶の中から、覚えていてほしい。

この『3.11』を。

だから、お願いします。