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＊＊＊＊＊
うっすらと、瞼を開く。ぼんやりとした視界が捉えたのは寮の部屋じゃなくて、それより真っ白な学園の保健室の天井。
規則的な電子音を発し、俺の心臓がきっちり仕事してるってことを表す心電図と無色の液体が入った点滴を横に動かした目が捉えて、何でここにいるのか、何で心電図を付けられるほど重傷を負っているのか、全てを悟った。
「……、……っ」
声は、出なかった。
＊＊＊＊＊
俺は対策部の仕事で、契約対象を使って犯罪を犯した元リアムの契約者をいつも通り"始末"しに、その契約者が居るという繁華街へ向かっていた。俺の契約対象二匹＿＿＿咲宮と向日葵は冗談差し置いて強い。いつも通りになるはずだった。ただ、誤算だったのは。
契約違反者は俺の同級生の男だったことだ。
それなりに仲は良かったし、同じクラスだって事で一緒に活動することも少なくは無かった。甘ったれた俺は一瞬始末すんのを躊躇して、その一瞬であいつに重傷を負わされた。
怒り狂った咲宮がその後掃除屋もびっくりなくらいミンチにして、結果上俺の仕事は終わったっつー事になってたらしいが、如何せん俺の傷は深かったし出血は半端なかったし、その場に駆けつけた他の対策部の連中は全員俺が今日も無事に仕事終わらせたなんて思ってて回復能力持ったやつなんて一人もいなかったもんだから、取り敢えず纏めると俺は生命状態継続危機に陥っていた。
頭回る参謀役のやつが、携帯越しに涙歌の音能力で傷癒すなんてトンデモなこと思いつかなかったら完全に死んでいたらしい。お陰でその参謀役には俺が全快したら焼肉奢る事になった。くっそ。
本部管轄の病院よりかは学園の方が近かったってんで俺は学園の保健室で治療を受ける事になった。
「＿＿＿＿ここまで分かりました？」
「……」
喉がカラッカラで声は出せないから一回だけ小さく頷く。今までの経緯をだいたい説明してくれた刹那が呆れたように溜息を吐いた。
俺の目が覚めたのにいち早く気付いたのは様子を見に来た保険委員会副委員長の律で、律は能力を使って刹那に目覚めたことを報せてくれた(正直俺も能力使ったて聞いたときは刹那死んだんじゃないかと思ったが、ただ単純に契約対象を向かわせただけって聞いて酷く安心した。心臓に悪い)。
それでやって来た刹那が据わった目をして皮肉交じりの経緯を語り始め、動けない話せないの俺は黙ってそれを聞くしかなかった。動けたらボコってた。
「ほんっとどうしてくれるんですか。涙歌部屋に籠っちゃってるんですよ？」
それは悪かったと思ってる。思わず視線が明後日の方向に流れた。
知り合いが流す大量の血にトラウマを持つ涙歌の声は、あのぶれっぶれの意識の中でも聞こえるくらいに取り乱していた。
能力はあいつの契約対象＿＿＿ミューが補佐してくれたのかきっちり掛かったけど。
「るーか委員長がいつまでもサボってるのは困りますからね。とっととその怪我治して謝りにでも行ってきてください。あと保健室の一角をいつまでも占領されるのだって困りまーす」
「……」
それも悪かったと思ってる。涙歌は二年生を代表するサボリ魔だ。委員会だって余裕でサボるに違いないが、だがしかし保険委員としての実力があいつに勝るもんが居なかったんで、仕方なしに委員長にしたクチだ。リアムは基本実力社会である。
副委員長の律は実力こそあったものの、能力が攻撃系にガン振り、おまけに傷を治すんじゃなく傷を抉る方が好きな……まあ、ちょっと委員長にするには危ないやつで、でもやっぱり他にやるには惜しいから副委員長ってポストに収まってる。
「じゃあ俺は部活行くんで。さいなら」
「じゃーね律。あ、あと多分数分で特務課の治癒契約者来ますね。俺も今日は生徒会の仕事あるから失礼します」
無言で頷いた。特務課の治癒契約者ってことはもう職場にこの惨状は伝わってるんだろう。げ、絶対どやされる。
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ぐだぐだで始まりぐだぐだで終わる。
うっすらと、瞼を開く。ぼんやりとした視界が捉えたのは寮の部屋じゃなくて、それより真っ白な学園の保健室の天井。
規則的な電子音を発し、俺の心臓がきっちり仕事してるってことを表す心電図と無色の液体が入った点滴を横に動かした目が捉えて、何でここにいるのか、何で心電図を付けられるほど重傷を負っているのか、全てを悟った。
「……、……っ」
声は、出なかった。
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俺は対策部の仕事で、契約対象を使って犯罪を犯した元リアムの契約者をいつも通り"始末"しに、その契約者が居るという繁華街へ向かっていた。俺の契約対象二匹＿＿＿咲宮と向日葵は冗談差し置いて強い。いつも通りになるはずだった。ただ、誤算だったのは。
契約違反者は俺の同級生の男だったことだ。
それなりに仲は良かったし、同じクラスだって事で一緒に活動することも少なくは無かった。甘ったれた俺は一瞬始末すんのを躊躇して、その一瞬であいつに重傷を負わされた。
怒り狂った咲宮がその後掃除屋もびっくりなくらいミンチにして、結果上俺の仕事は終わったっつー事になってたらしいが、如何せん俺の傷は深かったし出血は半端なかったし、その場に駆けつけた他の対策部の連中は全員俺が今日も無事に仕事終わらせたなんて思ってて回復能力持ったやつなんて一人もいなかったもんだから、取り敢えず纏めると俺は生命状態継続危機に陥っていた。
頭回る参謀役のやつが、携帯越しに涙歌の音能力で傷癒すなんてトンデモなこと思いつかなかったら完全に死んでいたらしい。お陰でその参謀役には俺が全快したら焼肉奢る事になった。くっそ。
本部管轄の病院よりかは学園の方が近かったってんで俺は学園の保健室で治療を受ける事になった。
「＿＿＿＿ここまで分かりました？」
「……」
喉がカラッカラで声は出せないから一回だけ小さく頷く。今までの経緯をだいたい説明してくれた刹那が呆れたように溜息を吐いた。
俺の目が覚めたのにいち早く気付いたのは様子を見に来た保険委員会副委員長の律で、律は能力を使って刹那に目覚めたことを報せてくれた(正直俺も能力使ったて聞いたときは刹那死んだんじゃないかと思ったが、ただ単純に契約対象を向かわせただけって聞いて酷く安心した。心臓に悪い)。
それでやって来た刹那が据わった目をして皮肉交じりの経緯を語り始め、動けない話せないの俺は黙ってそれを聞くしかなかった。動けたらボコってた。
「ほんっとどうしてくれるんですか。涙歌部屋に籠っちゃってるんですよ？」
それは悪かったと思ってる。思わず視線が明後日の方向に流れた。
知り合いが流す大量の血にトラウマを持つ涙歌の声は、あのぶれっぶれの意識の中でも聞こえるくらいに取り乱していた。
能力はあいつの契約対象＿＿＿ミューが補佐してくれたのかきっちり掛かったけど。
「るーか委員長がいつまでもサボってるのは困りますからね。とっととその怪我治して謝りにでも行ってきてください。あと保健室の一角をいつまでも占領されるのだって困りまーす」
「……」
それも悪かったと思ってる。涙歌は二年生を代表するサボリ魔だ。委員会だって余裕でサボるに違いないが、だがしかし保険委員としての実力があいつに勝るもんが居なかったんで、仕方なしに委員長にしたクチだ。リアムは基本実力社会である。
副委員長の律は実力こそあったものの、能力が攻撃系にガン振り、おまけに傷を治すんじゃなく傷を抉る方が好きな……まあ、ちょっと委員長にするには危ないやつで、でもやっぱり他にやるには惜しいから副委員長ってポストに収まってる。
「じゃあ俺は部活行くんで。さいなら」
「じゃーね律。あ、あと多分数分で特務課の治癒契約者来ますね。俺も今日は生徒会の仕事あるから失礼します」
無言で頷いた。特務課の治癒契約者ってことはもう職場にこの惨状は伝わってるんだろう。げ、絶対どやされる。
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ぐだぐだで始まりぐだぐだで終わる。
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作者名：雪寝 | 作成日時：2018年10月22日 19時
