今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:313 hit
昔々、あるところに一人の女の人がいました。彼女の友人は世界で一番、美しいとされ成長すると王様のお妃様になりました。彼女は、そんな人を友人に持った事を誇りに思っていたのです。
やがてそのお妃様は娘を出産しました。その娘もまた雪のように白い肌と、血のように赤い唇と、黒檀のように黒い髪を持つ美しい娘でした。娘は白雪姫と呼ばれました。
しかし、白雪が生まれて一年も経たない間にお妃様は病に倒れてしまいます。当時はまだ不治の病とされていたものです。段々と弱っていく自身の身体に怯えながらお妃様はずっと一緒にいた友人に最期の願いを託します。
「私はもう白雪が成長していく姿を見ることはできません。だから王様と貴女に見守っていてほしいの。白雪はきっと世界で一番美しい女性になる。それまで、娘をよろしくお願いできるかしら」
友人は小さく頷くと、やさしくお妃様の手を握りました。翌日、お妃様は眠るように息を止めてしまいました。彼女を世界で一番愛していた王様と生まれて間もない一人娘を残して。二人の話を聞いていた王様は時をおいてその友人を後妻として、白雪の継母にしました。一方継母となった友人は、前王妃の望みを叶えるべく花のように白雪を扱いながらも決して甘やかしはしませんでした。この頃から継母は毎晩、鏡に向かって問いかけるようになりました。
「鏡よ鏡。世界で一番美しいのは誰？」
以前は決まって、それはお妃様です。と言っていた鏡でしたが今は決まってこう応えます。
「それは貴女です」
それから幾年月、白雪は七歳の誕生日を迎えました。白雪は知っています。継母の持つ鏡が魔法の鏡である事を。そして、世界で一番美しいのは継母だと鏡が言う事を。それがどうしても白雪には納得ができませんでした。城を訪れる人は自分を見るなり、
「貴女より美しい女性なんていませんよ！」
と言ってきます。庭の池を覗き込んでもそこにはとても愛らしい少女が映ります。世界で一番美しいのは自分のはず、あの鏡は嘘を吐いている。そう考えた白雪はさっそく行動に出ました。継母が部屋を出ている間にこっそりと忍び込んで鏡に話し掛けます。
「鏡よ鏡。世界で一番美しいのは誰？」
「それは貴女の今の母親です」
「違うわ。一番美しいのはこの私よ。それ以外あり得ないの」
その晩、継母は鏡に問いました。
「鏡よ鏡。世界で一番美しいのは誰？」
鏡は応えました。
「それは白雪姫です」
その言葉を聞いて継母は歓喜しました。遂に友人との約束を果たすことができたのです。こうして結局、継母も勘違いをしたまま白雪のしたことに気付く者は一人もいませんでした。
そしてさらに七年後、十四歳になった白雪姫はいまだ世界で一番美しい王女です。しかし、どんな手段であったとしても魔法の鏡に見初められたのは事実。社交界に出る齢になれば当然、付きまとう男も現れます。彼女の場合は隣の国の王子でした。この王子は何か裏がある気がしてなりません。継母は心配で仕方ありませんでした。
そこで、継母が雇ったのは猟師です。白雪の守護を直接依頼したいところですが王妃と猟師では身分が違い過ぎるので話すことができませんでした。継母は自分の世話係である老人に依頼を頼みました。
ところが老人はなぜだか猟師に白雪の殺害を依頼します。最初こそ殺人だなんてと焦った猟師でしたが報酬の額に目が眩んで依頼を引き受けました。
本当の事を言ってしまうと、あの鏡は老人が創ったものが継母の手に渡ったもので、老人は魔法使いなのでした。白雪の行った事を知り罰を与えたかったのです。
翌日、庭を散歩している白雪を見つけた猟師は弓を構えました。矢を放とうとした直前、人を殺すという行為に一瞬ためらった猟師は足元の小枝を踏み小さな音を立ててしまいました。静かな庭では大きな音です。振り返った白雪は矢を自分に向けたままの男を見てとたんに青くなり、何も考えず走りました。ぬくぬく育ったお姫様の割には、見事猟師から逃げ切る事ができました。しかし逃げた先、森の中、彼女は迷子になりました。
一方、猟師はというと姫を取り逃がしてしまったことが知られたら報酬を受けとることができないのでその辺りを走っていた猪を殺して肝を老人に差し出しました。それを完全に白雪の臓物と勘違いした老人はペロリと平らげてしまいました。
やがてそのお妃様は娘を出産しました。その娘もまた雪のように白い肌と、血のように赤い唇と、黒檀のように黒い髪を持つ美しい娘でした。娘は白雪姫と呼ばれました。
しかし、白雪が生まれて一年も経たない間にお妃様は病に倒れてしまいます。当時はまだ不治の病とされていたものです。段々と弱っていく自身の身体に怯えながらお妃様はずっと一緒にいた友人に最期の願いを託します。
「私はもう白雪が成長していく姿を見ることはできません。だから王様と貴女に見守っていてほしいの。白雪はきっと世界で一番美しい女性になる。それまで、娘をよろしくお願いできるかしら」
友人は小さく頷くと、やさしくお妃様の手を握りました。翌日、お妃様は眠るように息を止めてしまいました。彼女を世界で一番愛していた王様と生まれて間もない一人娘を残して。二人の話を聞いていた王様は時をおいてその友人を後妻として、白雪の継母にしました。一方継母となった友人は、前王妃の望みを叶えるべく花のように白雪を扱いながらも決して甘やかしはしませんでした。この頃から継母は毎晩、鏡に向かって問いかけるようになりました。
「鏡よ鏡。世界で一番美しいのは誰？」
以前は決まって、それはお妃様です。と言っていた鏡でしたが今は決まってこう応えます。
「それは貴女です」
それから幾年月、白雪は七歳の誕生日を迎えました。白雪は知っています。継母の持つ鏡が魔法の鏡である事を。そして、世界で一番美しいのは継母だと鏡が言う事を。それがどうしても白雪には納得ができませんでした。城を訪れる人は自分を見るなり、
「貴女より美しい女性なんていませんよ！」
と言ってきます。庭の池を覗き込んでもそこにはとても愛らしい少女が映ります。世界で一番美しいのは自分のはず、あの鏡は嘘を吐いている。そう考えた白雪はさっそく行動に出ました。継母が部屋を出ている間にこっそりと忍び込んで鏡に話し掛けます。
「鏡よ鏡。世界で一番美しいのは誰？」
「それは貴女の今の母親です」
「違うわ。一番美しいのはこの私よ。それ以外あり得ないの」
その晩、継母は鏡に問いました。
「鏡よ鏡。世界で一番美しいのは誰？」
鏡は応えました。
「それは白雪姫です」
その言葉を聞いて継母は歓喜しました。遂に友人との約束を果たすことができたのです。こうして結局、継母も勘違いをしたまま白雪のしたことに気付く者は一人もいませんでした。
そしてさらに七年後、十四歳になった白雪姫はいまだ世界で一番美しい王女です。しかし、どんな手段であったとしても魔法の鏡に見初められたのは事実。社交界に出る齢になれば当然、付きまとう男も現れます。彼女の場合は隣の国の王子でした。この王子は何か裏がある気がしてなりません。継母は心配で仕方ありませんでした。
そこで、継母が雇ったのは猟師です。白雪の守護を直接依頼したいところですが王妃と猟師では身分が違い過ぎるので話すことができませんでした。継母は自分の世話係である老人に依頼を頼みました。
ところが老人はなぜだか猟師に白雪の殺害を依頼します。最初こそ殺人だなんてと焦った猟師でしたが報酬の額に目が眩んで依頼を引き受けました。
本当の事を言ってしまうと、あの鏡は老人が創ったものが継母の手に渡ったもので、老人は魔法使いなのでした。白雪の行った事を知り罰を与えたかったのです。
翌日、庭を散歩している白雪を見つけた猟師は弓を構えました。矢を放とうとした直前、人を殺すという行為に一瞬ためらった猟師は足元の小枝を踏み小さな音を立ててしまいました。静かな庭では大きな音です。振り返った白雪は矢を自分に向けたままの男を見てとたんに青くなり、何も考えず走りました。ぬくぬく育ったお姫様の割には、見事猟師から逃げ切る事ができました。しかし逃げた先、森の中、彼女は迷子になりました。
一方、猟師はというと姫を取り逃がしてしまったことが知られたら報酬を受けとることができないのでその辺りを走っていた猪を殺して肝を老人に差し出しました。それを完全に白雪の臓物と勘違いした老人はペロリと平らげてしまいました。
このホムペをお気に入り追加
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような占いを簡単に作れます → 作成
作者名：継賀あるさ | 作成日時：2014年4月30日 0時
