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どうやら最近の私は恋に落ちやすいようなのです。
今回は4度目の恋のお話。
3回目の失われた恋を経験して、それからすぐのことでした。
ユーザーによる生放送で、その人に出会いました。
新しいお気に入りを見つけたくて色んな生放送をフラフラと歩き回っている中で、なぜかその放送に惹かれました。
声真似をしている彼は普段の声もとても綺麗でした。
私はその放送の常連になりました。
彼は話が面白くて、私たちのコメント全てに返事をしてくれる。
笑った声は暖かく、彼の人柄を見せてくれるようでした。
この頃から、他の人とは違った感情を抱き始めていたような気がします。
その気持ちが恋心であると分かる時はそう遠くありませんでした。
ある日の彼の放送に、可愛らしい女の子の声が混じっていました。
同じ放送者として仲が良いらしいです。
私は面白いコメントとして、彼らを冷やかしました。
なーんだ、彼女さんですかー。なんて。
彼も女の子もそれは否定しました。
まぁ、肯定するような空気でもありませんでしたし、お付き合いは確かにしていらっしゃらないようでした。
私は少しだけ安心しました。
だって、可能性はゼロじゃないと思ったから。
いつしか女の子の放送にも顔を出すようになりました。
彼の放送で宣伝をしていたのが主な理由です。
彼の見ているものを見たい。そう思ったのです。
女の子の放送も、なかなか面白いものでした。
彼も一緒に放送することも少なくない数、見かけました。
テレビ通話しながら一緒にゲームをしたり、声真似のアドバイスをしあったり。
とても楽しそうでした。心が痛む程に羨ましく思いました。
しばらくして、彼の放送におじゃまする機会を得ました。
女の子が彼としていたようにテレビ通話をさせてもらえるというものです。
私たちはあくまで聞き手ですから、長い時間は通話できません。
彼の持ち前である声真似に関連し、通話をする人は声真似を披露する。
最初は躊躇いました。
声真似の経験は少なからずありますが、彼の腕前は私のうんと先をいくのですから、彼の耳に私の声を届けるのは不安で仕方ありませんでした。
彼が好きなキャラクターを調べ、必死に練習をしました。
喉が枯れそうになったことも多々あります。
それでも、彼に私の声を聞いてもらえるなら。
それだけでした。
私なりに満足して、いざ通話をしました。
通話する際にはイヤホンやヘッドフォンで周囲の音を防ぐのが常識ですので、普段はあまりつけないヘッドフォンをつけて彼の声に耳を傾けました。
彼の声はヘッドフォンを通してリアルに聞こえてきます。
胸が高鳴る。顔が火照る。ドキドキする。
練習してきたものは一瞬にして飛んでしまいました。
それでも何とか用意したセリフだけを言い、通話を終了しました。
お世辞かもしれませんが、彼は私の声真似を褒めてくれました。
似ている、と。
可愛かった、と。
キーボードの上でコメントを打つ手が震えて仕方ありませんでした。
しかし、それとは反対に口元や頬は緩んでしまい、話ができた喜びを抑えることは出来ませんでした。
2、3日に1度の生放送。
外せない予定さえなければ必ず見に行きました。
ある日の放送で、彼はこんなことを言いました。
自分はあまり虫を見ない。北海道に住んでいるから。
衝撃でした。
私が住んでいるのは北関東の一角。
海を越えた場所に彼はいました。
この時、やはり叶わない想いであったと、悟ってしまいました。
それからしばらくして、彼の放送がぱったりとなくなってしまいました。
毎日、放送を始めた通知を待ちました。
放送画面を何度も何度も読み込みました。
けれど彼は生放送に現れません。
いったいどうしたんだろうか。
1週間くらい放送していなかったのですが、私にはそれが何ヶ月にも感じられました。
彼の声を聞きたくてたまりませんでした。
また数日後の深夜。
ケータイに通知が来ました。彼が生放送を始めたのです。
私はまどろみの中にあった意識を覚まし、彼の放送を見に行きました。
もはや、彼の放送ページにたどり着くのは目をつぶっても出来るくらい、やり慣れたことでした。
しかし、いざ放送を見てみると、彼の声は聞こえません。
ノイズも一切聞こえなきことから、マイクが使えない状況なのかもしれないと考えましたが、予想は悪い方に裏切られました。
声が出ないらしいのです。
彼は文字で放送しました。
私たちとは違い、生放送をしている当人の打ったコメントはハッキリと区別されている私たちに届きます。
彼は文面でこう言いました。
やってしまった。自分は最低だ…
なんの事か全く理解できません。
不安、心配、悲しみ。いろんな感情が交差します。
いったい彼に何があったのか。
私はひたすらキーボードをたたきました。
彼の言うところでは、彼はネット上で人間関係をこじらせてしまったらしいのです。
仲違いした人の生放送を見に行って、コメントをしてしまったと彼は言いました。
彼の気持ちが塞ぎ込んでいるのは文字からでさえ伝わってきました。
私は少しだけ心理学を勉強していました。
だから、人の心を癒すことも多少ならできると思っていました。
もちろん、そんな力、私にはこれっぽっちもありませんでした。
私はひたすらコメントをしました。
弱ってしまっている彼の支えにならなければならなかったのです。
彼が壊れてしまう前に、暖かく包んであげなければならなかったのです。
その日は3回か4回放送しました。
1回の放送は30分なので、2時間に及ぶ時間。
私はキーボードの上から手を離すことはありませんでした。
私はコメントでこんなことを彼に伝えました。
あなたは悪くない。
無理をしてはいけない。
頑張りすぎないで欲しい。
現実から目を背けたって構わないんだ。
そして、私はあなたが好きです。
そんなことを伝えました。
この好きには特別な感情を込めました。
彼がそれに気づいているとは考えにくいですが、それでも私は彼に気づいて欲しかったのです。
私という一人の女に好意を持たれ、愛されているんだと。
私の言葉が彼に届いたのかは分かりませんが、今では彼も生放送をしています。
元気かと言えば語弊があるかもしれません。
私はまだ彼が万全でないと思うから。
きっと心の底の底で今回のことは大きな傷になっていることと思います。
私だって、そうでしたから。
私は彼が何を思っても、彼の味方でいたいと思います。
逆説的ですが、私は彼に依存しているようです。
彼の声を聞くのが日々の幸せです。
もし万が一、神様が私に微笑んでくださったら。
もし万が一、私が彼に会う機会を得られたら。
私は彼をギュッと抱きしめたいです。
そして、こう告げたいです。
一人の異性として、あなたのことが好きです。
〜fin〜
※一部フィクションです。
※事実だと思った方、残念、ほぼ実話です。
今回は4度目の恋のお話。
3回目の失われた恋を経験して、それからすぐのことでした。
ユーザーによる生放送で、その人に出会いました。
新しいお気に入りを見つけたくて色んな生放送をフラフラと歩き回っている中で、なぜかその放送に惹かれました。
声真似をしている彼は普段の声もとても綺麗でした。
私はその放送の常連になりました。
彼は話が面白くて、私たちのコメント全てに返事をしてくれる。
笑った声は暖かく、彼の人柄を見せてくれるようでした。
この頃から、他の人とは違った感情を抱き始めていたような気がします。
その気持ちが恋心であると分かる時はそう遠くありませんでした。
ある日の彼の放送に、可愛らしい女の子の声が混じっていました。
同じ放送者として仲が良いらしいです。
私は面白いコメントとして、彼らを冷やかしました。
なーんだ、彼女さんですかー。なんて。
彼も女の子もそれは否定しました。
まぁ、肯定するような空気でもありませんでしたし、お付き合いは確かにしていらっしゃらないようでした。
私は少しだけ安心しました。
だって、可能性はゼロじゃないと思ったから。
いつしか女の子の放送にも顔を出すようになりました。
彼の放送で宣伝をしていたのが主な理由です。
彼の見ているものを見たい。そう思ったのです。
女の子の放送も、なかなか面白いものでした。
彼も一緒に放送することも少なくない数、見かけました。
テレビ通話しながら一緒にゲームをしたり、声真似のアドバイスをしあったり。
とても楽しそうでした。心が痛む程に羨ましく思いました。
しばらくして、彼の放送におじゃまする機会を得ました。
女の子が彼としていたようにテレビ通話をさせてもらえるというものです。
私たちはあくまで聞き手ですから、長い時間は通話できません。
彼の持ち前である声真似に関連し、通話をする人は声真似を披露する。
最初は躊躇いました。
声真似の経験は少なからずありますが、彼の腕前は私のうんと先をいくのですから、彼の耳に私の声を届けるのは不安で仕方ありませんでした。
彼が好きなキャラクターを調べ、必死に練習をしました。
喉が枯れそうになったことも多々あります。
それでも、彼に私の声を聞いてもらえるなら。
それだけでした。
私なりに満足して、いざ通話をしました。
通話する際にはイヤホンやヘッドフォンで周囲の音を防ぐのが常識ですので、普段はあまりつけないヘッドフォンをつけて彼の声に耳を傾けました。
彼の声はヘッドフォンを通してリアルに聞こえてきます。
胸が高鳴る。顔が火照る。ドキドキする。
練習してきたものは一瞬にして飛んでしまいました。
それでも何とか用意したセリフだけを言い、通話を終了しました。
お世辞かもしれませんが、彼は私の声真似を褒めてくれました。
似ている、と。
可愛かった、と。
キーボードの上でコメントを打つ手が震えて仕方ありませんでした。
しかし、それとは反対に口元や頬は緩んでしまい、話ができた喜びを抑えることは出来ませんでした。
2、3日に1度の生放送。
外せない予定さえなければ必ず見に行きました。
ある日の放送で、彼はこんなことを言いました。
自分はあまり虫を見ない。北海道に住んでいるから。
衝撃でした。
私が住んでいるのは北関東の一角。
海を越えた場所に彼はいました。
この時、やはり叶わない想いであったと、悟ってしまいました。
それからしばらくして、彼の放送がぱったりとなくなってしまいました。
毎日、放送を始めた通知を待ちました。
放送画面を何度も何度も読み込みました。
けれど彼は生放送に現れません。
いったいどうしたんだろうか。
1週間くらい放送していなかったのですが、私にはそれが何ヶ月にも感じられました。
彼の声を聞きたくてたまりませんでした。
また数日後の深夜。
ケータイに通知が来ました。彼が生放送を始めたのです。
私はまどろみの中にあった意識を覚まし、彼の放送を見に行きました。
もはや、彼の放送ページにたどり着くのは目をつぶっても出来るくらい、やり慣れたことでした。
しかし、いざ放送を見てみると、彼の声は聞こえません。
ノイズも一切聞こえなきことから、マイクが使えない状況なのかもしれないと考えましたが、予想は悪い方に裏切られました。
声が出ないらしいのです。
彼は文字で放送しました。
私たちとは違い、生放送をしている当人の打ったコメントはハッキリと区別されている私たちに届きます。
彼は文面でこう言いました。
やってしまった。自分は最低だ…
なんの事か全く理解できません。
不安、心配、悲しみ。いろんな感情が交差します。
いったい彼に何があったのか。
私はひたすらキーボードをたたきました。
彼の言うところでは、彼はネット上で人間関係をこじらせてしまったらしいのです。
仲違いした人の生放送を見に行って、コメントをしてしまったと彼は言いました。
彼の気持ちが塞ぎ込んでいるのは文字からでさえ伝わってきました。
私は少しだけ心理学を勉強していました。
だから、人の心を癒すことも多少ならできると思っていました。
もちろん、そんな力、私にはこれっぽっちもありませんでした。
私はひたすらコメントをしました。
弱ってしまっている彼の支えにならなければならなかったのです。
彼が壊れてしまう前に、暖かく包んであげなければならなかったのです。
その日は3回か4回放送しました。
1回の放送は30分なので、2時間に及ぶ時間。
私はキーボードの上から手を離すことはありませんでした。
私はコメントでこんなことを彼に伝えました。
あなたは悪くない。
無理をしてはいけない。
頑張りすぎないで欲しい。
現実から目を背けたって構わないんだ。
そして、私はあなたが好きです。
そんなことを伝えました。
この好きには特別な感情を込めました。
彼がそれに気づいているとは考えにくいですが、それでも私は彼に気づいて欲しかったのです。
私という一人の女に好意を持たれ、愛されているんだと。
私の言葉が彼に届いたのかは分かりませんが、今では彼も生放送をしています。
元気かと言えば語弊があるかもしれません。
私はまだ彼が万全でないと思うから。
きっと心の底の底で今回のことは大きな傷になっていることと思います。
私だって、そうでしたから。
私は彼が何を思っても、彼の味方でいたいと思います。
逆説的ですが、私は彼に依存しているようです。
彼の声を聞くのが日々の幸せです。
もし万が一、神様が私に微笑んでくださったら。
もし万が一、私が彼に会う機会を得られたら。
私は彼をギュッと抱きしめたいです。
そして、こう告げたいです。
一人の異性として、あなたのことが好きです。
〜fin〜
※一部フィクションです。
※事実だと思った方、残念、ほぼ実話です。
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作者名：駄作者ミィ | 作成日時：2015年9月6日 14時
