熱中症

｢…あ″っ″つ″い″…｣


あまりの暑さに手で宙を仰ぐ。メフィストが｢クーラーつけたんだけどね｣と言うが、つけ始めはまだまだ暑いままだ。


まだ梅雨というのにこの暑さ、バテそうだ…


｢こんなに暑かったら熱中症にでもなりそうだね｣


｢あー…そうだなー…｣


聞く気も答える気もなく適当にそう返す。


｢…ねえレオちゃん｣


｢あー？なんだよ｣


｢″熱中症″ってゆっくり言ってみて｣


そんなこといって何になるんだと思いながらも、もうツッコむのも面倒くさいと感じ、言うことにした。


｢ねっ…ちゅー…しょー？｣


これでいいのかよ。と聞こうとしたとき、唇に柔らかいものが触れた。…それはメフィストの口だった。

それがわかったと同時に無理矢理口をこじ開けられ、メフィストの舌が入ってきた。


｢んっ、んぅ…ふ…｣


突き離そうとしたが、手を握られていて離すことができない。


｢…っ…め、ふぃ…｣


息苦しくなってメフィストの名前を呼ぼうとするも、上手く声がでない。

やっと口が離れたかと思うと、酸欠で行きが途切れ途切れの俺にメフィストが色っぽい声で


｢はい、ちゅーしたよ。｣


と言う。


｢…っは…それが目的かよ…｣


俺が小さい声で呟くと、｢僕、絶対言ってとは言ってないよ？｣とにやにや笑いながら言う。


｢…このドＳ野郎…｣


｢うん、それがどうかした？｣


｢あとで覚えとけよ…｣