逆ハーでした(完成形)

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オリジナルの短編です。主人公は被害者。

気がついたら逆ハーの中心に…

それはつい昨日のこと。

ハッとするとしらない部屋のベッドの上。

あれー？さっきまで自分の部屋にいたはずじゃ？この顔の端っこに見える長い綺麗な金髪は誰のかしらー？

鏡が目にはいる。そこにうつっていたのはもちろん私…って

「えええええええええええええええ！！！」
とにかく叫んだ。ダレデスカ。コイツ。
「どーしたの？」
部屋の外から声が…
「ごめん。ママ、なんでもない」
反射で答えてしまったが、今の声は母のではない。ついでに母のことをママとは呼んでいない。
おかしい。
鏡の前の超絶美少女はビックリした顔をしている。私は鏡に向かって手を振る。超絶美少女も手を振る。私は鏡の前でターンする。超絶美少女もターンする。

夢ですね。思いっきり自分の頬を思いっきり叩く。
「痛い…」
夢じゃない。声が自分のものではないことに気がつく。

え、もしかして、この美少女は私？いやないない。あ、憑依というやつですかね？え、でも死んでないし。え？ドユコト？

その瞬間、誰かの記憶が流れてくる。多分、この子の記憶。この子の体の。

この子の名前は、堤ユリ(つつみ)。

知っている。会ったことはないけれど、知っている。だってこの子は、

乙女ゲームの主人公だもの。つまりここはゲームの世界。記憶を見るに明日からは…

………………………………もう、寝る。
おやすみ。

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「おはよう。ハニー。今日もいい朝だね」

「おはようございます。今日も1段とお美しいですね。」

「おっはー！だーいすき！」

「おはよぉ…お姉ちゃん？ギューってして？」

「お、おはよ…」

「はよ。ふわぁ。ねみ。」

昨日の不安も的中してた。ユリちゃん？もう、攻略済みだったの？しかも、逆ハーEND…

確かにイケメンだよ？でもね。私はただのオタクだ！無理！イケメンとか、心臓持たないからぁ…

早く、体を返してあげたい…

てか、こいつら何気にスキンシップ多くね？おい！チャラ男！どこ触ってんじゃあ！

私は全力ダッシュを決め込んだ。ええ、はい。全力で逃げましたよ。さすが、主人公補正きいてるぅ！男のあいつらも捕まえられませんでした☆

自分の席につく。おい、隣ぃ！何故、お主が！

逆ハー要員その1敬語キャラの寄川啓(よりかわけい)！

「今朝はどうしたんですか？」

どうしたもこうしたもないわ！こういう時に前世(?)での知識が使えるんだよね。

「あら？寄川君。私、貴方たちが嫌いだから逃げただけですわ。それに、私に気安く話しかけないで下さる？」

どうだ！悪女の真似！流石だな。フッ
こういう時ユリちゃんだったら

「ごめんね？遠くで泣いてる子がいて…」

とか言うんだろうけど、私には無理！悪役に徹しどん底まで嫌われてやる。

寄川が驚いた顔してるのに笑えてくる。その会話を聞いていた後ろの席の逆ハー要員その2無気力系イケメン折宮裕也(おりみやゆうや)が

「お、おい。どうした？ユリ？」

と戸惑った顔で聞いてくる。
「あら、気安く話しかけるな、と言ったばかりよ。あと、下の名前で呼ばないで下さる？」

ポーカーフェイスきどってるけど、内心心臓バクバクだからね⁉︎もう、死ぬ一歩手前だよ⁉︎

というような感じで

「もう、高校生よ？ハニーとか言ってて恥ずかしくありませんの？」
チャラ男、相川蓮(あいかわれん)にも

「常識を考えてますの？大好き、とか普通人前で叫ぶことではありませんよ。」
元気系、塚本翼(つかもとつばさ)にも

「私、貴方のお姉ちゃんになった覚えはありませんわ。」
弟系、齋藤樹(さいとういつき)にも

「ウジウジしないでください。視界の邪魔です。」
コミュ症、鈴間伊吹(すずまいぶき)にも

頑張って嫌われたはずだ！

なのに

今も囲われてる。どうして？なぜ？どうして、嫌われない。

てか、前より好かれてない？

逃げろ。とにかく、逃げろ。

「ねえ、待って！」

あいつらは声を揃えて追いかける。
この逆鬼ごっこは学園ではもう名物と言っていいだろう。

私は今日も逃げる。

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