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小｜中｜大｜第１章 隆暁

僕が彩花里と出会ったのはちょうど5年前、20歳のとき。
僕と彩花里はお見合い結婚をした。
結婚１年目は愛し合っていたが、今は関係も冷めてきている。
だからすぐに離婚しようと思えばできるはずなのに、僕はそれができないでいる。
そんなある日のことー
｢あなた。…ねぇ、隆暁？話があるの。いい？｣
食卓を囲んで2人でご飯を食べていた時に彩花里が突然に言った。最近は会話もなかったから、驚いた。
｢あ、あぁ。なに？｣
つい無愛想な返事をしてしまった。
｢離婚しましょう？私達、最初はお見合い結婚でも、愛し合っていたでしょう？でも今は、会話だってないじゃない。だったら離婚して本当に好きな人を作って新しい人生歩んでいくのもいいんじゃない？だから、離婚しましょ。はい、これ、離婚届。サインして。｣
僕はビックリして、グラスを倒してしまった。
｢な、なんだよ、急に。｣
とは言ったものの、離婚したいと心の中で思っていた。
｢サインして。｣
彩花里が急かしてくるのと、本心とで離婚届に僕はサインした。
すると最初から荷物をまとめておいたらしい彩花里荷物を持って玄関へ行った。
せめて最後は送ってやろうと玄関までは送った。