にせのネタ帳 Part1

もう思い残すことはないと思う



言いたいことは言ったし、きっと嫌われてきたはず


大好きだった



大好きで仕方なかった


だからこそ、私は･･･････





こわくて足が竦む


やっぱり怖いんだ･････


『死んじゃうの』が･･･







大丈夫、大丈夫


いたくない、いたくない････辛くない


これ以上つらくなりたくないから、
これから先、彼に嫌われたくないから････






「YOU！！」

バンと音がした



振り返るとそこには、大好きな･･････



一瞬で目の前がぼやけた


よりによって最後に目にするのが彼だったなんて






大好きだからこそ、この先の姿を見せたくなかった


『ガンっていうのはね、直すためのお薬を飲むと髪の毛が抜けちゃうのよ』

おかあさんが言ってた





大嫌いって、もう別れようって･･･


『ほんとは好きでもなんでもなかった』


最低なことを言った





なのに･･･

なのになんで来るんだろう･･･





すごい顔して走ってくる

必死な顔



私のために、あんな顔して走ってくるの？

なんて、自惚れてるんだ、きっと･･･っ






後ずさってしまった


はっと我に返った時にはもう、私の体は下へ下へ下へ―――･･･





ホワッと体が温まった


安心する






「YOUが俺のこと、なんて思ってても･･･俺、ずっと好きだから」



そのまま意識が途切れた







―――ありがとう。