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また供養です。

最近は一段と冷え込み始め、月も太陽の後をすぐ追うように沈んでしまいます。
月明かりに隠れていた星々は煌々と星座を指し示す様に輝くのです。

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狐の嫁入り、それは晴れているのに雨が降っているときの事を昔の人が表現した言葉。

今まで、そうだと思っていた。

だから、近道の為に通っていた山道(山じゃないけど)で、まさか飛び出したキツネにぶつかるとは誰も思わないだろう。


狐「あいたたた、すみません…え、人間?」

「き、狐が喋ったぁあああああああ!!?」


だから、狐が喋るとも思わなかった。
というか、狐は人間の言葉を喋るだなんて非現実的だが、あの狐は喋ったのである。


「あ、ごめんなさい。友人の嫁入りがあるので…!
この無礼は必ず恩にして返します!!」


あんぐりと開けていた口が閉じて、ハッと意識を取り戻し先程の出来事を思い出したのは、雨が止んでからだった。


結局、あの狐(声から判断するとメス狐)は友人の嫁入りに間に合ったのだろうか…。




なんともまぁ、不思議なことがあるもんだ。






次の日、俺の家の玄関口に木の皮で編まれた袋に、キノコや山菜、木の実や果実が山の様に入って置いてあった。

傍には石を重しに手紙が添えてあった。


拙い漢字やひらがなを見て少し、安堵した俺は悪くは無いと思う。



『先日のご無礼をお許しください。

貴方様が見逃して頂き、友人の嫁入りには間に合う事ができました。

本当に貴方様には感謝の言葉しかございません。

我々が化け狐という種族であるのは、
薄々、勘づいているとは存じますが、何卒口を噤んでは頂けないでしょうか?


お返事はこの紙の裏にお書き下さい


無礼を働いた狐より』



なんとも謙虚というか、自尊心のない狐である。
ここまで、遠回しに書く必要があるのだろうか?

まあ、昨日の事は俺自身、誰にも話すことは無いだろう。


どうせ話したところで、信じては貰えるはずもないし、信じられても、俺自身が「だからどうした」という精神でしかないからだ。


俺は山の様に入っている籠(数個)を何回かに分けて家の中に運ぶと、狐に返事を書いた。



『約束は守る。
それと、嫁入りに間に合って良かったな。

恩をもらった人間より』


短いが、これくらいしか書くことは無い。

それにしてもだ。


どうやって狐は俺の家を探し当てたのだろうか。



疑問に思ったが俺自身、そこまで気にも留めなかったので、すぐに頭の中から忘れてしまっていた。



後日、狐が人に化けて、俺の嫁になりたいと申し出るのはまだ先の事だとは誰も想像出来まい。

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作者名:無自覚サイコパス | 作成日時:2018年11月14日 13時

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