平成に花束を【オリジナル】

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平成最後に書きたいと、衝動書きですが執筆します。

明日に、この作品の続編を作り、ギリギリに更新しようと思っています(平成最後の五分前くらい)。

平成という時代に生まれた事を、私は誇りに思います。

『平成の世』の幕引きに、私は実感が未だありません。ですが、今の私にある出来る限りの語彙力で、表現していこうと思います。

平成最後の私の作品、どうか読者の皆様の目に留まって頂けますように━━。

「平成(へいせい)さん」

私は何度もあの御方の名前を呼んだ。
けれど、あの御方は微笑むばかりで返事をしてはくれなかった。
ふわりと春風が頬を撫でる。

縁側で緑の多くなった桜が風に揺られているのを共に眺める。

「平成さん…」

桜の花弁がまた、一片舞い降りて御方の頬に擦り寄り、別れの挨拶を交わして去って逝(ゆ)かれました。

「平成さん、今まで…ありがとうございました。
平成の世は時代の流れが速く感じたように思えます…。

でも…」

私は言い淀んだ。視線を下に向け、目から塩辛いモノが零れるのをグッと耐えた。
腕からカサリと音が鳴る。

平成さんは私の顔を見て、そして桜に目を向けた。

「ねぇ、YOUさん。
私の世(平成)は楽しかったですか？」

ハッとした。
御方の声色からは悲しみも怒りも感じなかったからだ。
私は直ぐに顔を上げた。

強い風が、私達の髪を撫でる様に弄ぶ。
御方は笑っていた。
幸せそうに笑っていた。我が子を見るように国を、祖国を眺める。

「私はね、とても幸せなんですよ。
今の天皇様が、亡くなられずに次の世(令和)に進む…とても素敵な事なんです。

私が天皇様の即位と共に、私は昭和さんから世を、国民を受け継ぎました。

ですがね、その時の昭和さん…泣かれていたのですよ。
きっと、64年という月日を共にした相棒を失った悲しみからでしょうが…私はね、その顔を赤ん坊でしたが覚えているのです。

私、令和さんに笑って世を、国民をお譲り出来ることが…とても嬉しいのです」

平成さんの言葉に私は目頭が熱くなり、今まで我慢して来たモノが頬を伝うのを感じた。
幸せそうに笑う御方に、私は何が出来ただろうか…。

「多くの国民が亡くなり、多くの国民が生まれた。どんな時でも時代は巡り、廻るのです。
ですからほら、大丈夫ですよ」

過去の時代となる『平成の世』に生まれた事を、私はまず、誇りに思う。

きっと、これから先も歴史は繰り返す。
けれど、異なる時代に同じ思考を持った人が現れる事は極めて少ない。似た思考を持った人は現れるだろうが、本質が違ったり、将来像が違ったりと、その時代背景に人はそれとなく染まるのだから。

いつか、『令和の世』も過去の時代へと変わるのだろう。けれど、我々はその時代に生まれた事をいつだって誇りに思う。

時代の国民が無くならない限り、我々はずっと、平成という名を持ったあの御方に護られているのだろう。

いや、その時代が廃れても、彼等は我々国民を何時までも見守っているのだろう。

私は腕に抱えた花束を、お世話になった御方である、貴方に贈ります。

「平成さん」

「なんでしょうか」

「…本当にありがとうございました！」

桜と共に、貴方は笑って頷いた。

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