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*
ずぶずぶって音がする。
ぶかぶかって音がする。
ぷかぷか泡が上に登って行って、僕を一人にしていくんだ。
*
＊シリアス(？)
＊レギュラス主人公
＊夢主なし
＊中途半端
＊何年か前に書いたものをそのまま勿体無い精神で挙げたので、おかしなところが多々あります。
*ずぶずぶって音がする。
ぶかぶかって音がする。
ぷかぷか泡が上に登って行って、僕を一人にしていくんだ。
*
＊シリアス(？)
＊レギュラス主人公
＊夢主なし
＊中途半端
＊何年か前に書いたものをそのまま勿体無い精神で挙げたので、おかしなところが多々あります。
守りたい、ただただそれだけなのに、
包み込もうとしたその手から、何もかもがすり抜けてしまう。
「……っえ……」
目が覚めて、口から出た言葉はそれ。
僕は暗い水の中で、たった一人で死んだはず。
何もない、ただ広がる虚に、身を投げ捨てたはず。
なんで生きているんだ？なんでこの心臓は動いているんだ？
答えは出ない。
「ーーさいシリウスッッッ！！」
下の階から、怒鳴り声が響く。
これは大好きな大好きな母様の声だ。
僕は声を頼りに、寝間着のままその場に足を運んだ。
階段の軋む音が聞こえたか、母様は僕を振り返った。
「レギュラス……どうかしたの？」
「……っ」
どうして母がここにいるんだ。
僕はちゃんと死んだはずなのに。
目の前にいる兄は幼い。
多分、手すりの高さからして、僕の体もまた幼くなっているのだろう。
視界がぼやけていることに気づいた。
音もなく、暖かい何かが頬を伝う。
もしかしたら、もしかしたらだけれど、また明るく、楽しく、家族をすることができるんじゃないか。
「れ、レギュラス？何泣いてんだよ」
兄さんが驚いたように言う。
その隣で母様も戸惑っていた。
「に……さま……ぼく……」
「怖い夢でも見たのか？」
ただ涙を流す僕に、兄様は優しく撫でた。
母様との喧嘩は一時休戦と言ったところだろうか。
「レギュラス？どうかしたの？」
「あーーっの、ぼーーぼく、死んじゃう夢見て……」
「……」
違う違うこんなことを言いたいわけじゃない。
他人に夢を聞かせて何が楽しいんだ。
「レギュラス。大丈夫だよ、お前は死んじゃいない」
「ええそうですとも、お母様もお兄様も生きているわ」
母は包み込むように僕と兄様を抱きしめる。
久しぶりの母様と兄様の匂い。
やっぱり涙は止まらない。
僕は生きてた。
まだ、やり直せる。
母様や父様、兄様と、それからクリーチャーと、また、幸せな時を送ることができるかもしれない。
「母様……兄様、僕は、何があっても家族が大好きですからね」
◆◆◆◆
「あの……父様」
「どうしたんだいレギュラス」
僕の声に、父様は優しく答える。
僕は一瞬迷ったけれど、開けた口を閉じることはしなかった。
「兄様の、ホグワーツをの生活を聞きたいです。僕だけじゃなくって、家族みんなで」
母様のフォークが音を鳴らす。
母の前でホグワーツのことは禁句なのは暗黙の了解だった。
「……それは、私ではなくシリウスに聞くべきだね」
父様は静かに言う。
たしかに、と思う。
でも、ただ兄様に聞くだけじゃ、僕だけが兄様と話をしていることになる。
みんなで明るい家族をするのが、僕の夢なんだ。
「僕は、ホグワーツについて聞きたいです。兄様、家族みんなに話していただけませんか？」
兄様のその時の肝の抜かれようと言ったら。
だけれど兄はそれでもイケメンだ。
「えーっと……」
兄様は母様を見る。
先程から固まっている母様。
「あの母様……グリフィンドール、でも、兄様が、その、家族なのは、変わらないです……だから、あの、その……」
母を前にすると、喋りにくくなる。
母は苦手だった。
だけど、絶対にここで怯んでやるものか。
「母様は兄様が気に入らなくて、兄様は母様が気に入らないのかもしれませんが、僕はお二人の仲が悪いのが気に入らないです！だから！えっと……お願いです……仲良く……」
何を言っているんだろう。
頭が真っ白け。
母様たちは目を見開いたまま困惑している。
居心地の悪い沈黙が(僕にとったらいつもそうだったが)流れる。
しばらく、フォークとナイフの音だけが響いた。
「シリウス」
声が響く。母様のだ。
兄様の方がピクリと動くのが目に入った。
僕のさっきの言葉は、なかったことにされるのだろうか。
「グリフィンドールの寮に、不自由はありませんか？」
「……うるせ……え？」
いつものように喧嘩腰で返す言葉を決めていたのか、兄様は途中までいい、言葉を切る。
そして間抜けな音をこぼした。
「あ……はい」
「そう……」
僕の頬は自然と緩んだ。
もしかしたら、二人の仲を完全じゃなくても少しくらいなら修復することだってできるかもしれない。
だけど、そんな簡単には行かなかった。
◆◆◆◆
次の日も、怒声は響いた。
その次の日も、その次の日も。
悪いのはほとんど兄さん。
わざと母様の琴線に触れるようなことを言って、母様を怒らせる。
母様はヒステリックだから、その小さな挑発に乗ってしまうのだ。
そして兄さんはついには家を出て行ってしまう。
また、前と同じだ。
僕は知っている。
兄さんが母様と喧嘩した後に、声を殺して泣いていることを。
母様が兄さんと喧嘩した後に、小さな声でずっと謝り続けていることを。
前と一緒。全部全部。
悲しくなるくらい、虚しくなるくらい。
全部全部。
包み込もうとしたその手から、何もかもがすり抜けてしまう。
「……っえ……」
目が覚めて、口から出た言葉はそれ。
僕は暗い水の中で、たった一人で死んだはず。
何もない、ただ広がる虚に、身を投げ捨てたはず。
なんで生きているんだ？なんでこの心臓は動いているんだ？
答えは出ない。
「ーーさいシリウスッッッ！！」
下の階から、怒鳴り声が響く。
これは大好きな大好きな母様の声だ。
僕は声を頼りに、寝間着のままその場に足を運んだ。
階段の軋む音が聞こえたか、母様は僕を振り返った。
「レギュラス……どうかしたの？」
「……っ」
どうして母がここにいるんだ。
僕はちゃんと死んだはずなのに。
目の前にいる兄は幼い。
多分、手すりの高さからして、僕の体もまた幼くなっているのだろう。
視界がぼやけていることに気づいた。
音もなく、暖かい何かが頬を伝う。
もしかしたら、もしかしたらだけれど、また明るく、楽しく、家族をすることができるんじゃないか。
「れ、レギュラス？何泣いてんだよ」
兄さんが驚いたように言う。
その隣で母様も戸惑っていた。
「に……さま……ぼく……」
「怖い夢でも見たのか？」
ただ涙を流す僕に、兄様は優しく撫でた。
母様との喧嘩は一時休戦と言ったところだろうか。
「レギュラス？どうかしたの？」
「あーーっの、ぼーーぼく、死んじゃう夢見て……」
「……」
違う違うこんなことを言いたいわけじゃない。
他人に夢を聞かせて何が楽しいんだ。
「レギュラス。大丈夫だよ、お前は死んじゃいない」
「ええそうですとも、お母様もお兄様も生きているわ」
母は包み込むように僕と兄様を抱きしめる。
久しぶりの母様と兄様の匂い。
やっぱり涙は止まらない。
僕は生きてた。
まだ、やり直せる。
母様や父様、兄様と、それからクリーチャーと、また、幸せな時を送ることができるかもしれない。
「母様……兄様、僕は、何があっても家族が大好きですからね」
◆◆◆◆
「あの……父様」
「どうしたんだいレギュラス」
僕の声に、父様は優しく答える。
僕は一瞬迷ったけれど、開けた口を閉じることはしなかった。
「兄様の、ホグワーツをの生活を聞きたいです。僕だけじゃなくって、家族みんなで」
母様のフォークが音を鳴らす。
母の前でホグワーツのことは禁句なのは暗黙の了解だった。
「……それは、私ではなくシリウスに聞くべきだね」
父様は静かに言う。
たしかに、と思う。
でも、ただ兄様に聞くだけじゃ、僕だけが兄様と話をしていることになる。
みんなで明るい家族をするのが、僕の夢なんだ。
「僕は、ホグワーツについて聞きたいです。兄様、家族みんなに話していただけませんか？」
兄様のその時の肝の抜かれようと言ったら。
だけれど兄はそれでもイケメンだ。
「えーっと……」
兄様は母様を見る。
先程から固まっている母様。
「あの母様……グリフィンドール、でも、兄様が、その、家族なのは、変わらないです……だから、あの、その……」
母を前にすると、喋りにくくなる。
母は苦手だった。
だけど、絶対にここで怯んでやるものか。
「母様は兄様が気に入らなくて、兄様は母様が気に入らないのかもしれませんが、僕はお二人の仲が悪いのが気に入らないです！だから！えっと……お願いです……仲良く……」
何を言っているんだろう。
頭が真っ白け。
母様たちは目を見開いたまま困惑している。
居心地の悪い沈黙が(僕にとったらいつもそうだったが)流れる。
しばらく、フォークとナイフの音だけが響いた。
「シリウス」
声が響く。母様のだ。
兄様の方がピクリと動くのが目に入った。
僕のさっきの言葉は、なかったことにされるのだろうか。
「グリフィンドールの寮に、不自由はありませんか？」
「……うるせ……え？」
いつものように喧嘩腰で返す言葉を決めていたのか、兄様は途中までいい、言葉を切る。
そして間抜けな音をこぼした。
「あ……はい」
「そう……」
僕の頬は自然と緩んだ。
もしかしたら、二人の仲を完全じゃなくても少しくらいなら修復することだってできるかもしれない。
だけど、そんな簡単には行かなかった。
◆◆◆◆
次の日も、怒声は響いた。
その次の日も、その次の日も。
悪いのはほとんど兄さん。
わざと母様の琴線に触れるようなことを言って、母様を怒らせる。
母様はヒステリックだから、その小さな挑発に乗ってしまうのだ。
そして兄さんはついには家を出て行ってしまう。
また、前と同じだ。
僕は知っている。
兄さんが母様と喧嘩した後に、声を殺して泣いていることを。
母様が兄さんと喧嘩した後に、小さな声でずっと謝り続けていることを。
前と一緒。全部全部。
悲しくなるくらい、虚しくなるくらい。
全部全部。
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作者名：あんころころもち | 作成日時：2020年3月5日 19時
