今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:290 hit
小|中|大| | CSS 初書き一発目。
青さんが弱っているのをイケメン桃さんが......みたいなのを書きたかっただけです笑
こんな風に、stxxx様たちが支え合っていけますように。
ATTENTION!!
・腐要素あまりありません。
・紫さん現在設定。
・nmmnの界隈となっております。苦手な方はプラウザバックをお願いします。
・苺王子様のお名前をお借りしておりますが、ご本人様とは関係ございません。
・黄赤要素含みます。
この話について詳しくはここから。
素敵なcssはこちらから。
青さんが弱っているのをイケメン桃さんが......みたいなのを書きたかっただけです笑
こんな風に、stxxx様たちが支え合っていけますように。
ATTENTION!!
・腐要素あまりありません。
・紫さん現在設定。
・nmmnの界隈となっております。苦手な方はプラウザバックをお願いします。
・苺王子様のお名前をお借りしておりますが、ご本人様とは関係ございません。
・黄赤要素含みます。
この話について詳しくはここから。
素敵なcssはこちらから。
※喧嘩描写あり
「うぅ.......、」
ブルーライト眩しさに目を開けると、視界に映ったのはいつもの動画サイトだった。
編集が途中になっている制作中の動画。
画面の右下に表示されている今の時間。
これを見れば、自分が何をしでかしていたかなんて、一目瞭然と言っていいほどだった。
「ぁ......寝ちゃってた、」
“こんなことしてる余裕なんかないのに”
こんな眠気と戦いながらの毎日。
今日もそれと交戦しつつ、ご飯も無視して目の前の画面に目を向けた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「やっぱ今日はビールか。あー、でもやっぱ日本酒も捨てがたいよなぁ...」
目の前に並んだ酒たちを睨みながら、冷蔵庫の前を歩くこと約15分。
この間にカップラーメンは5個完成するけれど。
日本酒、ビール、缶......だんだん照明の光が金属に反射する色が目に痛くなってきた。
酒選びなんか気楽すぎんだろ、なんて自分自身でも呆れつつ。
「まぁ......こんなことでもしてなきゃやってられないもんな...」
会議、動画、その他の仕事。
かく言う俺も、今はただ休憩しているだけ。
ここ最近の忙しさはまさしく尋常ではなくて、楽しみがなくてはやっていけないのは事実だった。
そんな状況に、さっきとはうってかわってため息をつく。
そう、今心配なのは相棒兼恋人のころんのこと。
アイツはリスナーの前では強がる癖に、自分の状況が目に入らないことがよくあった。
無理をするのに俺らには「大丈夫」なんて嘘をつく。
そんなタチの悪いところも、ペアである俺が一番よく知っている。
「仕方ない、俺が行ってやりますか」
時刻は只今深夜2時。
作りたての温かいココアの缶を2つ持って、彼の作業場へ足を向けた。
そこのソファで談笑したいな、なんて考えながら。
..............................
「ころん?」
ノックをしても変事がなかったことを不審に思い、そっと作業場のドアを開く。
自然とそばの机に置いたココアの表面が揺れた。
「おい、寝て......ないか」
寝ているのかと思えば、これまたしかめっ面で画面を睨んでいるころんがパソコンに反射している。
いつもの可愛さなんて欠片もない。
睨んだ目の先にある編集画面には、一目見てわかるまだまだ残っている作業の山。
そんなことよりころんの体調が大事なのは当たり前で。
なぜだか、返事のしない彼が怖くなった。
「ちょ、起きてるならなんか言えって!」
声をかけても反応しないもどかしさに、無理矢理細い肩を掴んで振り向かせる。
目が合ったのは、いつもの俺の好きな水色で優しく笑う目じゃなかった。
吊り上がって、濁ったような青色の目。
「......なに」
「っ、いつまでやってんだよ?飯ぐらい食べろって」
「...そんなことしてる暇ないってこと、さとみくんだって分かってるでしょ」
“だったら出てってよ”
そう言いたげな瞳を負けじと見返して、少しだけため息をついた。
「ずっとやってんだろ。少しくらい休憩しろ」
有無を言わせない目で見つめると、ころんが下を向いて少し黙る。
そして、気まずい沈黙を破ったのはころんの方だった。
仕方なさそうに息をつくと、パソコンの保存ボタンを押したようで。
「...わかった....は、」
と、立ち上がろうとしたころんの声が止まった。
大きい目がもっと見開かれていて。
「おい、早く行かねえのかよ」
「さと...みく、」
そう急かすと、心なしか声が震えて強ばっているような気がする。
彼の意図が読めず、視線をたどった
先には、
「なにあれ、お酒...?」
「は?......あっ、」
ココアだと思っていたものは片方酒で、照明に照らされて鈍く缶が光っていた。
しまった、と思ったってもう遅い。
後ろでガタン、と音がした。
「なに、まさかお酒飲む気だったの。こんな状況で」
「違、そういうわけじゃ、」
「じゃあなんなの!?」
小さな部屋に、ころんの大声が響きわたる。
思わず息を飲むと、ころんが一歩近づいた。
「っ、さとみくんはいいじゃん!!どうせストックあるし。自慢するくらいなら出てってよ!!!」
「なっ、!?ちょ、落ち着けって!」
言葉とは反対に、ころんに止まる様子はなかった。
「いつもいつも完璧で嫌なんだよ!!!」
「ッ、こんなんだったら付き合わなければよかった!!すとぷりも他の皆も大嫌っ、」
パンッ
「い゛っ、」
言わせたくなかったから。
聞いた瞬間頭に血が上るのがわかって。
手が上がったと思ったら、気づけばころんの頬を叩いていた。
勢いが良すぎたのか、ころんが床に座り込んだのをわずかな理性が感じとって。
我に返ったのは数十秒後のことだった。
「ッ、ころん、ごめ」
「いいよ」
「ぇ、」
「いいから、出てって」
俺を見上げたころんの顔は赤くなっていて、 瞳の表面に膜があり泣きそうだと気がついた。
「出てけって言ってんじゃん!」
ここで声をかけれていたら、どんなにいい彼氏だっただろうか。
現状、言葉は浮かばず足も動かない。
ゆっくり溜め息をもらす。
「わかった。ごめん」
そして、そのまま家を出た。
............................
「で、僕らのところに来たと」
「そういうこと。どうせ俺はさ、ころんが想像するようなスパダリじゃないんだよ」
「うんうん。ころちゃんもさとみの馬鹿力で叩かれたんだもんね......」
「うるせ」
「だって加減してないんでしょ」
と言われ、返す言葉の見つからない俺をるぅとが呆れ目で追い討ちをかけてくる。
くっそ、連携プレー上手すぎだろ。
まぁ、今はそんなとこに構ってる場合じゃない。
「で、お前らは喧嘩とかすんの?」
「えぇ?そりゃね」
「例えば?」
身を乗り出すようにして聞くと、2人揃って首をかしげる。
「んー、さところみたいに、お互いの仕事が忙しくて...ってのはなかったけど」
「えぇ。強いて言えば一回、るぅころ、さとりーぬで絡みすぎ問題で怒りましたね」
あー、最近コラボ多かったからなぁ。
というかそれ以前に、この2人でも嫉妬なんてあるんだ。
この場合るぅとが妬いたとか?
いや、お互いがか。
「んでそのときは...確か2人で不満をぶつけ合ったよね」
「はい。そのあと一緒にお風呂入ったり、ご飯作ったり、寝たりとか......」
「ふふ、やっぱ2人で一緒に居るときが一番楽しいから」
“さとみくんもそうじゃないんですか?”
るぅとの真剣な目が俺の目を軽く見据える。
そんなの、当たり前に決まってる。
ころんとゲームする時間。
一緒に飯を食う時間。
馬鹿話する時間。
ころんと笑い合える瞬間。
きっと、これ以上の幸せなんかない。
「なら、いいんじゃないですか?」
「え?」
「ふふ、僕らから見てればわかりますよ。ころちゃんだって同じです」
「......本当か?」
「そりゃそうでしょ。るぅとくんが言うんだから」
「...あとはもう、さとみくんにかかってるんですよ」
そっ、か。
「ありがとな、るぅと、莉犬。俺もちょっと考えてみるわ」
「うわ、さとみくんからお礼言われちゃったよ」
「これはもう、空から槍が降るだの天変地異ですかね...」
「カンドーシーンだろうが」
「ちなみに2人共仕事は?」
「はぁ?終わったに決まってるじゃないですか」
全く、そこはぬかりないのな。
なんて他愛のないことを話して。
「んじゃ、忙しいとこ悪かったな」
「ええ。明日の会議、期待してますからね」
俺がるぅりーぬの家を出ていったあと、
「大丈夫ですよ。さとみくんなら上手くいきます」
「だってさところだもんね?」
「まぁ、会議中にイチャつくのだけは自重してほしいですけど」
なんて会話が繰り広げられていたとか、いないとか。
......................
ころんの作業場は、窓が少ないため日が暮れると一気に暗くなる。
光が入らないためブルーライトの光がより一層輝くことが特徴で。
その画面の中に、光のせいで青白く見えるころんの顔が反射していた。
カタカタと、タイピングの音だけが聞こえる。
「...ただいま。何してるん?」
「ん、動画の最終チェック」
背後から覗き込むと、家を出る前までは山だった編集が最後まで片付けられていた。
俺がいないと集中できるんだな、なんて。
沈黙を破ったのは、カタン、というころんが眼鏡を置く音だった。
「さとみく、」
「...どうした?」
「っ、ごめん。イライラしてた」
「おん。お前もキレんだなってビックリした」
ゆっくりとこちらに振り向かせると、今にも泣きそうな瞳と目が合った。
空みたいな、宝石みたいな、綺麗な空色。
いつものころんの、俺の大好きな目だった。
「...もどった」
「え?」
「んーん。なんでもない」
手をそっと柔らかい頬に添えると、ころんの体が少し強ばる。
まだ叩いたところは赤みが引いてなくて、どれだけ俺が勢い良く手を上げたのかが痛感できた。
優しく撫でると、華奢な肩が少し上がった。
「俺も、ごめん。痛かっただろ?」
「っ、違うッ!」
「嫌いなんかじゃない、さとみくんもすとぷりも皆、大好きだよ...」
「ん、ならよかった」
「なぁ、ころん」
「何?...わっ、」
頬を撫でていた手をそっと離して、ころんの背中側にもっていく。
そして、そのままぎゅっと力を入れて腕を引いた。
こわごわところんの手も俺のシャツを控えめに掴んで。
伝えたい言葉は一つだけ。
「よく、頑張ったな」
「ぇ、」
「俺さ、それ言うの忘れてた」
そっと背中を優しく叩くと、ズビッと鼻をすする音が聞こえた。
軽くしゃくり上げ始めて、それに合わせて体が揺れる。
「ふっ、ホントお前泣き虫だよなぁ」
「ッ、誰のせいだと...」
と、シャツを握る力が強くなった。
「もう...っ最近本当にしんどくてッ、でもっ皆も頑張ってるから僕だって頑張らなきゃって、」
「うん」
「ッ、りすなーさんも楽しみにしてるから.......僕だって頑張らないと迷惑かけちゃうしっ、」
「うん」
なーくんのこと。
控えてるライブのこと。
生放送のこと。
毎日の動画投稿のこと。
これだけのことを抱えて、一体どれほど辛かったのか。
「今日だってッ、さとみくんが心配してくれてるのは知ってた...っ」
「ん、」
「なのに...ッ、あんなこと言っちゃってっ、でも、さとみくんやさしいからぁっ、」
「...大丈夫。言っていいから」
「ぜんぜん...っ、だいじょうぶじゃないッ」
「うん」
「すっごく......すごい、疲れた...」
「...ん、」
「疲れたぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「っ、大丈夫。ころんは頑張ったから。俺がいるから」
子供みたいに大泣きして、駄々みたいに。
なぜか俺まで、鼻の奥が痛くなった。
...........................
「ほら、早く冷やさないと明日るぅとにバカにされるぞ?」
「わかった」
そっと目に濡れタオルを当ててやると、素直に目を閉じるころん。
久しぶりにいとおしさを感じるような気がする。
と、彼が小さく口を開いた。
「...僕さ、」
「ん?」
「さとみくんが出てっちゃって、嫌われたかと思った」
「え?」
「捨てられたかもって」
「さとみくんは、こんな僕でもいいの?」
「嫌い、なんて言っちゃったしさ」
床に体育座りをしているころんが、より一層体を丸める。
あたかも小動物みたいだな、なんて。
「何言ってんだよ。俺は今のころんが良いの」
「ほん、とに?」
「だから、ゆっくりでいい。焦んな」
「うん、」
「あと...少しくらいは頼れよ。これでも彼氏だし。一人であんま抱え込むな」
「っ、あり...ッがと」
「当たり前だろ。お前の短所も俺が一番知ってる」
「ん」
「...俺はさ、お前の笑った顔が一番好き。だから、これからもずっと俺の隣で笑っててよ」
ありきたりな告白でいい。
「な、僕もさとみくんのことっ、スパダリのさとみくんが大好きだから!!」
「はいはい」
もうこんなことないように、何度でも言ってやるから。
「ほら、早く冷やしてココア飲むぞ?」
「あ、じゃあ間接キスできる?」
「お前なぁ...」
だからこれからも、コイツと笑い合えますように。
〜ココア騒動,fin〜
「うぅ.......、」
ブルーライト眩しさに目を開けると、視界に映ったのはいつもの動画サイトだった。
編集が途中になっている制作中の動画。
画面の右下に表示されている今の時間。
これを見れば、自分が何をしでかしていたかなんて、一目瞭然と言っていいほどだった。
「ぁ......寝ちゃってた、」
“こんなことしてる余裕なんかないのに”
こんな眠気と戦いながらの毎日。
今日もそれと交戦しつつ、ご飯も無視して目の前の画面に目を向けた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「やっぱ今日はビールか。あー、でもやっぱ日本酒も捨てがたいよなぁ...」
目の前に並んだ酒たちを睨みながら、冷蔵庫の前を歩くこと約15分。
この間にカップラーメンは5個完成するけれど。
日本酒、ビール、缶......だんだん照明の光が金属に反射する色が目に痛くなってきた。
酒選びなんか気楽すぎんだろ、なんて自分自身でも呆れつつ。
「まぁ......こんなことでもしてなきゃやってられないもんな...」
会議、動画、その他の仕事。
かく言う俺も、今はただ休憩しているだけ。
ここ最近の忙しさはまさしく尋常ではなくて、楽しみがなくてはやっていけないのは事実だった。
そんな状況に、さっきとはうってかわってため息をつく。
そう、今心配なのは相棒兼恋人のころんのこと。
アイツはリスナーの前では強がる癖に、自分の状況が目に入らないことがよくあった。
無理をするのに俺らには「大丈夫」なんて嘘をつく。
そんなタチの悪いところも、ペアである俺が一番よく知っている。
「仕方ない、俺が行ってやりますか」
時刻は只今深夜2時。
作りたての温かいココアの缶を2つ持って、彼の作業場へ足を向けた。
そこのソファで談笑したいな、なんて考えながら。
..............................
「ころん?」
ノックをしても変事がなかったことを不審に思い、そっと作業場のドアを開く。
自然とそばの机に置いたココアの表面が揺れた。
「おい、寝て......ないか」
寝ているのかと思えば、これまたしかめっ面で画面を睨んでいるころんがパソコンに反射している。
いつもの可愛さなんて欠片もない。
睨んだ目の先にある編集画面には、一目見てわかるまだまだ残っている作業の山。
そんなことよりころんの体調が大事なのは当たり前で。
なぜだか、返事のしない彼が怖くなった。
「ちょ、起きてるならなんか言えって!」
声をかけても反応しないもどかしさに、無理矢理細い肩を掴んで振り向かせる。
目が合ったのは、いつもの俺の好きな水色で優しく笑う目じゃなかった。
吊り上がって、濁ったような青色の目。
「......なに」
「っ、いつまでやってんだよ?飯ぐらい食べろって」
「...そんなことしてる暇ないってこと、さとみくんだって分かってるでしょ」
“だったら出てってよ”
そう言いたげな瞳を負けじと見返して、少しだけため息をついた。
「ずっとやってんだろ。少しくらい休憩しろ」
有無を言わせない目で見つめると、ころんが下を向いて少し黙る。
そして、気まずい沈黙を破ったのはころんの方だった。
仕方なさそうに息をつくと、パソコンの保存ボタンを押したようで。
「...わかった....は、」
と、立ち上がろうとしたころんの声が止まった。
大きい目がもっと見開かれていて。
「おい、早く行かねえのかよ」
「さと...みく、」
そう急かすと、心なしか声が震えて強ばっているような気がする。
彼の意図が読めず、視線をたどった
先には、
「なにあれ、お酒...?」
「は?......あっ、」
ココアだと思っていたものは片方酒で、照明に照らされて鈍く缶が光っていた。
しまった、と思ったってもう遅い。
後ろでガタン、と音がした。
「なに、まさかお酒飲む気だったの。こんな状況で」
「違、そういうわけじゃ、」
「じゃあなんなの!?」
小さな部屋に、ころんの大声が響きわたる。
思わず息を飲むと、ころんが一歩近づいた。
「っ、さとみくんはいいじゃん!!どうせストックあるし。自慢するくらいなら出てってよ!!!」
「なっ、!?ちょ、落ち着けって!」
言葉とは反対に、ころんに止まる様子はなかった。
「いつもいつも完璧で嫌なんだよ!!!」
「ッ、こんなんだったら付き合わなければよかった!!すとぷりも他の皆も大嫌っ、」
パンッ
「い゛っ、」
言わせたくなかったから。
聞いた瞬間頭に血が上るのがわかって。
手が上がったと思ったら、気づけばころんの頬を叩いていた。
勢いが良すぎたのか、ころんが床に座り込んだのをわずかな理性が感じとって。
我に返ったのは数十秒後のことだった。
「ッ、ころん、ごめ」
「いいよ」
「ぇ、」
「いいから、出てって」
俺を見上げたころんの顔は赤くなっていて、 瞳の表面に膜があり泣きそうだと気がついた。
「出てけって言ってんじゃん!」
ここで声をかけれていたら、どんなにいい彼氏だっただろうか。
現状、言葉は浮かばず足も動かない。
ゆっくり溜め息をもらす。
「わかった。ごめん」
そして、そのまま家を出た。
............................
「で、僕らのところに来たと」
「そういうこと。どうせ俺はさ、ころんが想像するようなスパダリじゃないんだよ」
「うんうん。ころちゃんもさとみの馬鹿力で叩かれたんだもんね......」
「うるせ」
「だって加減してないんでしょ」
と言われ、返す言葉の見つからない俺をるぅとが呆れ目で追い討ちをかけてくる。
くっそ、連携プレー上手すぎだろ。
まぁ、今はそんなとこに構ってる場合じゃない。
「で、お前らは喧嘩とかすんの?」
「えぇ?そりゃね」
「例えば?」
身を乗り出すようにして聞くと、2人揃って首をかしげる。
「んー、さところみたいに、お互いの仕事が忙しくて...ってのはなかったけど」
「えぇ。強いて言えば一回、るぅころ、さとりーぬで絡みすぎ問題で怒りましたね」
あー、最近コラボ多かったからなぁ。
というかそれ以前に、この2人でも嫉妬なんてあるんだ。
この場合るぅとが妬いたとか?
いや、お互いがか。
「んでそのときは...確か2人で不満をぶつけ合ったよね」
「はい。そのあと一緒にお風呂入ったり、ご飯作ったり、寝たりとか......」
「ふふ、やっぱ2人で一緒に居るときが一番楽しいから」
“さとみくんもそうじゃないんですか?”
るぅとの真剣な目が俺の目を軽く見据える。
そんなの、当たり前に決まってる。
ころんとゲームする時間。
一緒に飯を食う時間。
馬鹿話する時間。
ころんと笑い合える瞬間。
きっと、これ以上の幸せなんかない。
「なら、いいんじゃないですか?」
「え?」
「ふふ、僕らから見てればわかりますよ。ころちゃんだって同じです」
「......本当か?」
「そりゃそうでしょ。るぅとくんが言うんだから」
「...あとはもう、さとみくんにかかってるんですよ」
そっ、か。
「ありがとな、るぅと、莉犬。俺もちょっと考えてみるわ」
「うわ、さとみくんからお礼言われちゃったよ」
「これはもう、空から槍が降るだの天変地異ですかね...」
「カンドーシーンだろうが」
「ちなみに2人共仕事は?」
「はぁ?終わったに決まってるじゃないですか」
全く、そこはぬかりないのな。
なんて他愛のないことを話して。
「んじゃ、忙しいとこ悪かったな」
「ええ。明日の会議、期待してますからね」
俺がるぅりーぬの家を出ていったあと、
「大丈夫ですよ。さとみくんなら上手くいきます」
「だってさところだもんね?」
「まぁ、会議中にイチャつくのだけは自重してほしいですけど」
なんて会話が繰り広げられていたとか、いないとか。
......................
ころんの作業場は、窓が少ないため日が暮れると一気に暗くなる。
光が入らないためブルーライトの光がより一層輝くことが特徴で。
その画面の中に、光のせいで青白く見えるころんの顔が反射していた。
カタカタと、タイピングの音だけが聞こえる。
「...ただいま。何してるん?」
「ん、動画の最終チェック」
背後から覗き込むと、家を出る前までは山だった編集が最後まで片付けられていた。
俺がいないと集中できるんだな、なんて。
沈黙を破ったのは、カタン、というころんが眼鏡を置く音だった。
「さとみく、」
「...どうした?」
「っ、ごめん。イライラしてた」
「おん。お前もキレんだなってビックリした」
ゆっくりとこちらに振り向かせると、今にも泣きそうな瞳と目が合った。
空みたいな、宝石みたいな、綺麗な空色。
いつものころんの、俺の大好きな目だった。
「...もどった」
「え?」
「んーん。なんでもない」
手をそっと柔らかい頬に添えると、ころんの体が少し強ばる。
まだ叩いたところは赤みが引いてなくて、どれだけ俺が勢い良く手を上げたのかが痛感できた。
優しく撫でると、華奢な肩が少し上がった。
「俺も、ごめん。痛かっただろ?」
「っ、違うッ!」
「嫌いなんかじゃない、さとみくんもすとぷりも皆、大好きだよ...」
「ん、ならよかった」
「なぁ、ころん」
「何?...わっ、」
頬を撫でていた手をそっと離して、ころんの背中側にもっていく。
そして、そのままぎゅっと力を入れて腕を引いた。
こわごわところんの手も俺のシャツを控えめに掴んで。
伝えたい言葉は一つだけ。
「よく、頑張ったな」
「ぇ、」
「俺さ、それ言うの忘れてた」
そっと背中を優しく叩くと、ズビッと鼻をすする音が聞こえた。
軽くしゃくり上げ始めて、それに合わせて体が揺れる。
「ふっ、ホントお前泣き虫だよなぁ」
「ッ、誰のせいだと...」
と、シャツを握る力が強くなった。
「もう...っ最近本当にしんどくてッ、でもっ皆も頑張ってるから僕だって頑張らなきゃって、」
「うん」
「ッ、りすなーさんも楽しみにしてるから.......僕だって頑張らないと迷惑かけちゃうしっ、」
「うん」
なーくんのこと。
控えてるライブのこと。
生放送のこと。
毎日の動画投稿のこと。
これだけのことを抱えて、一体どれほど辛かったのか。
「今日だってッ、さとみくんが心配してくれてるのは知ってた...っ」
「ん、」
「なのに...ッ、あんなこと言っちゃってっ、でも、さとみくんやさしいからぁっ、」
「...大丈夫。言っていいから」
「ぜんぜん...っ、だいじょうぶじゃないッ」
「うん」
「すっごく......すごい、疲れた...」
「...ん、」
「疲れたぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「っ、大丈夫。ころんは頑張ったから。俺がいるから」
子供みたいに大泣きして、駄々みたいに。
なぜか俺まで、鼻の奥が痛くなった。
...........................
「ほら、早く冷やさないと明日るぅとにバカにされるぞ?」
「わかった」
そっと目に濡れタオルを当ててやると、素直に目を閉じるころん。
久しぶりにいとおしさを感じるような気がする。
と、彼が小さく口を開いた。
「...僕さ、」
「ん?」
「さとみくんが出てっちゃって、嫌われたかと思った」
「え?」
「捨てられたかもって」
「さとみくんは、こんな僕でもいいの?」
「嫌い、なんて言っちゃったしさ」
床に体育座りをしているころんが、より一層体を丸める。
あたかも小動物みたいだな、なんて。
「何言ってんだよ。俺は今のころんが良いの」
「ほん、とに?」
「だから、ゆっくりでいい。焦んな」
「うん、」
「あと...少しくらいは頼れよ。これでも彼氏だし。一人であんま抱え込むな」
「っ、あり...ッがと」
「当たり前だろ。お前の短所も俺が一番知ってる」
「ん」
「...俺はさ、お前の笑った顔が一番好き。だから、これからもずっと俺の隣で笑っててよ」
ありきたりな告白でいい。
「な、僕もさとみくんのことっ、スパダリのさとみくんが大好きだから!!」
「はいはい」
もうこんなことないように、何度でも言ってやるから。
「ほら、早く冷やしてココア飲むぞ?」
「あ、じゃあ間接キスできる?」
「お前なぁ...」
だからこれからも、コイツと笑い合えますように。
〜ココア騒動,fin〜
このホムペをお気に入り追加
登録すれば後で更新された順に見れます
1人がお気に入り
1人がお気に入り
「すとぷり」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Rou - コメント失礼します!僕が求めていたものと全く一緒でびっくりしました!ころちゃん可愛いですね✨ (7月28日 9時) (レス) id: e81d0aeadd (このIDを非表示/違反報告)
茜歌(プロフ) - 水無月歌恋さん» ありがとうございます!!そうおっしゃっていただけて光栄です!!! (2022年6月17日 20時) (レス) id: c2be7f0ade (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような占いを簡単に作れます → 作成
作者名:茜歌 | 作成日時:2022年6月14日 16時