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| CSS アキハバライベ未履修
ピグマリオン王捏造
幕間未履修時に書いたため、一部差異があります

CSS借りました
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静かな祈りだった。そのように見えた。
生前のギリシアを想わせるメカニズムな場で、年端も行かぬ一人の少女が膝をつき、指先を重ね、柔らかく目を瞑る様子は、そぐわないようでいて馴染みがある。
息を吹き返したガラテアは、音を立てずに眼前の彼女を見つめ、その人が頭を上げるのを待っていた。

瞳孔さえ白濁とした、物言わぬ頃のことは覚えていない。けれど時折、あったのだ。ガラテアが人として生きている最中、ピグマリオン王が彼女に向かって頭を下げるときが。
それが祈りであるという情報は、何故か、生まれた時から既に持っていた。
(それもまた、アフロディーテ様の加護であるのでしょう)

はじめて彼が眼前で祈った時、連なる白濁とした柱の合間から常春の陽気が差し込み、すぐ側に植えられた薔薇の香りを運んでいた。彼の傍――特に春は、いつだってアフロディーテ神の加護に溢れていたのだ。
ガラテアはどうしようかと迷うことなく、そっと彼の真似をして、神へ感謝の祈りを捧げた。
そして、暗闇のなかで祈りは信頼の証であるのだと気がつく。無防備にも世界を閉じて、その場に留まり、安全を下げ渡すのは神への信頼あってこそ。そして彼自身の傍で祈る、ガラテア本人への信頼の証なのだと。
嬉しくて、たまらなかった。
その時ほど、頬を弛めたことは無い。
「きみも祈るんだね」
「おかしいでしょうか、王よ」
「そんなことはない、とても嬉しい。だから再び、共に祈ろう」
いつか添えた手の平の温かさを思い出しながら、ガラテアはそっと瞼を閉じた。これは、ただの彫刻であるときはできなかった、あの人の愛が成した仕草である。
そう、己の神とそのヒトとを繋げる時間を、邪魔をしてはいけない。彼女は聖人ではなかったが、祈ることも、祈られることにも慣れている。

体内時間で数分たった頃、ガラテアが再び瞼をあげれば、既に少女は背筋を伸ばしてそこに立っていた。
背丈がほぼ同じであり、ぱっちりと開かれた灰色の一重と見つめ合うことになる。彼女は嬉しそうにはにかんで「英雄(あなた)でも祈るのね」と目尻を下げた。
ガラテアはほんの少しだけ笑んで「これはピグマリオン王が教えてくださった、愛のひとつですから」と優しい声音で、そう、答えたのだ。

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作者名:ズンビイ | 作成日時:2024年4月25日 22時

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