本当に脱出成功……？

貴方「本当に匿って貰ってどうもありがとうございました。あの時匿って貰って居なかったら、私は死んでいたし、貴方の元で働く事も出来ませんでした」

紅茶を嗜み乍ら目の前の人物にそう感謝を伝える

貴方「本当にありがとうございます、フョードルさん」

目の前の青年＿＿ドストエフスキーも紅茶を嗜み乍ら微笑む

ドストエフスキー「いえいえ。それに、僕の事はフェージャと呼んでくださいと何度も云って居るでしょう？」

貴方「フェージャと呼べる程まだ親しい中ではありませんので！」

焦り、カップの中に入った紅茶を一気に飲み干してしまう

貴方「うっ、に、苦い……」

貴方(そういえばいつも入れている蜂蜜を入れるのを忘れていたな)

なんて後悔していると、呑気な笑い声と共に目の前に水が置かれた

貴方「！ありがとうございます、ゴーゴリさん」

笑い声の主＿＿ニコライ・ゴーゴリにお礼を云い、水を飲み干す

ゴーゴリ「1つ忘れればそんな事になるのに、紅茶が好きなの？」

貴方「はい！それに、フョードルさんが入れてくれる紅茶、とっても美味しいんですよ」

ドストエフスキー「嬉しい限りです」

ゴーゴリ「ふぅん？じゃあ僕は？」

貴方「えっ？」

突然の事に驚く貴方

ゴーゴリ「だーかーらー！僕はどう？好き？」

貴方「ん〜そうですね……面白い人だと思いますよ！好きです！」

そう云うとゴーゴリは少し微妙な顔をする

貴方(何か間違っていたかな？)

「ドストエフスキー！」

バンっと壊れそうな音を立て乍ら扉が開く

ツートーンカラーの髪の青年＿＿シグマがそこに居た

貴方「どうも、支配人さん！」

シグマ「私の名前はシグマだ。何故今日は支配人と呼ぶ？」

貴方「気分です！」

シグマ「なんだそれは……そんな事よりドストエフスキー！」

そう云ってフョードルに詰め寄るシグマ

貴方(小言が始まりそうだなぁ〜)

貴方「ゴーゴリさん、自室まで送ってくれませんか？」

そうお願いすると、ゴーゴリは少し笑う

ゴーゴリ「ハハーハ！君は本当にお願い上手だよね〜！」

貴方「そうな事ないですわっぷ！？ちょ、髪の毛くしゃくしゃになるじゃないですか！」

急に頭を撫でられ、貴方はぷくーとむくれ乍ら云う

ゴーゴリ「ハハッー！ちゃんと送るから機嫌直して？ね？」

貴方「本当ですか？」

ゴーゴリ「ハハハーハッ！僕が嘘を付いた事はあるかい！？」

貴方「嘘しか付いてません」

シグマ「そうだぞ、ゴーゴリ」

ゴーゴリ「2人して酷いよぉ！」

そう云ってゴーゴリは泣き真似をする

シグマ「こいつは放っておいて、私が送って行こう」

ドストエフスキー「いいえ。僕がお送りしますよ」

シグマ「鼠の頭目様を煩わせるには行かない」

ゴーゴリ「それならなんの役職も持たない僕が1番だね！」

貴方(ああもう、なんでこうなるの……)

思わず頭を抱え込みたくなった

貴方「今日は1人で帰りますからご心配無く！」

そう云って貴方は逃げるようにその場から去った

残った3人が、過去の4人と同じだとは知らずに……