君のいないセカイは、【iris】【青】

　　『ただいま…』

　　そう言っても、何も返ってこなくて少し驚く。


　　『そっか…俺、別れたんやっけ。』

　　そこで、やっと実感する。

　　彼女と別れたのはもう2日も前なのに…


　　なんで、俺はまだ彼女が居ると期待しているんやろ。

　　そんな事を思いながら、部屋に上がる。

　　買ってきたものを出していたら、いつも飲んでるアルコールは、缶で2本。

　　俺はそこまで強くないから、一本で十分なのに…また買ってしまった。


　　『…いつまで酒、2人分買って帰って来るんやろうな。』


　　ﾎﾞｿｯ、と独り言を言ったところで…虚しくなってきた。

　　彼女がいても、居なくても…あまり変化のない日常

　　ただただ朝起きて、仕事行って、帰ってきて…気が向いたら飲んで。


　　そんな毎日は…君が居ないだけでこんなに空っぽな日常なんだ…って君が居なくなって初めて知った。

　　『飲も…』


　　ｶｼｭｯ､と缶を開ける音が響く。


　　いつもだったら、

　　《今日も飲むの〜？》

　　とか、

　　《飲みすぎないでね》

　　って、お小言言われたり…するのに、


　　今日は何も返ってこない…返ってくるわけがない。


　　(結局、あんな日々が楽しかったんよな…)

　　月明かりが綺麗だったので、窓の近くに移動してみた


　　こうやって、月を見上げるのもことも、彼女が好きな事

　　よく君とこうやって飲んでいたから、俺もこうして月明かりに照らされるのが好きになった

　　こんな寒い時、

　　《冷え性だから手、繋いでよ》

　　って不器用な俺を揶揄って言ってきた君。

　　俺がいつも、くだらない事を言うと、笑い合ってくれた君。


　　でも、最後に俺に見せた笑顔は…本当に楽しかったのかな…？

　　最後に見る笑顔くらい、本当に楽しんでいる笑顔が良かった


　　『って…別れたのに俺、あいつの事ばっかりやん』

　　それくらい…大切な人だったって事やな…。

　　『はぁ…』

　　ため息をつくと、君の甘い香りがリフレインする

　　それで、不意に君と過ごした日々を思い出してしまう。


　　全部覚えてる。君と会った日のことも、他愛ない日常のことも。

　　いつしか少しづつ色褪せて、君は忘れてしまうかもしれないけど、俺にとっては大切な思い出。


　　『一緒に居たいな…』

　　振り返ると、俺1人では広すぎる部屋。


　　そして、プロポーズしようと思ってた、10号のリングは、

　　一度も開けられないまま、捨てることも出来ずに置いてある


　　《別れよう。》

　　そう言う君の声を、鮮明に思い出す。

　　もう彼女には、俺を想う気持ちは…無かった


　　こんなモノクロの世界で、俺だけが君を想ってたんだね


　　でも…また好きになってくれないかなって、またあんな風に過ごせないかなって、儚い希望を抱いてしまう。


　　『もう…さよなら、したんやな……。』

　　君の事を想い過ぎてﾎﾟﾛﾎﾟﾛとこぼれる雫が月明かりに照らされ、キラキラと光っていた。


　　・。・。・。・。・。・。・。・。


　　…迷走しました。

　　下手すぎる…。

　　こんな作品ですが、最後まで読んでいただきありがとうございました。