感

僕は皆が嫌いだ。



どこかに行ってしまう皆が嫌だ。



誰かを失ったとき、僕の中で知らないなにかを感じた。



それは喪失感。失うことへの不安だ。



しかし、それは恐怖ではない。



寂しさと悲しさである。



孤独を好んだ僕は、失うことで寂しさを感じた。



絶対に戻らないはずのネガティヴが、悲しさを思い出した。



楽しさのようには戻らない感情が１つ戻ってきた。



感情を捨てて以来感じることがなかった感覚を思い出した。



きっとあの日から変わってしまったんだろう。



何も感じられなくて、吹っ切れたはずなのに、



なぜか涙は止まらなくて、止めたくなくて、



人に頼られてきた僕が、初めて他人を頼った。



結果的に、失うことはなかった。



でも、感じたのは事実。思い出してしまった感覚は事実。



きっと、相談者や心護者を始めたのも失いたくなかったから。



僕のように耐えられる人は少ないから。



愛されが好きなのも自分以外傷つかないから。



誰も離れていかないからだろう。



反応集が好きなのも周りがずっと動かないからだ。



失いたくないと言う初めての夢以外のワガママ。



作成不可能だった悲しみを作ってくれた喪失感。



僕はその感覚がとても嫌いだ。



だから、その原因の皆が嫌いだ。



戻ってきてくれないかな。



それだけで良いから。



そこに存在すると言う事実だけで良いから。



生きた証明を残してくれるだけで良いから。



消滅していく存在の欠片の保存料を側に置いといて。