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Pixivに投稿しようかと思いましたがちょっとハードルが高すぎたのでここで供養することにしました。鯉登少尉夢です。夢主個性的で名前は夢子固定なので脳内変換しながら読んでください。

・女主
・名前あり

追記
やっぱこの展開納得いかねかって、差し替えました。本来すけべな展開に持っていく予定が前案だとピュアピュアだったんですよね……沢山見て貰えたのに今更っ……圧倒的謝罪っ……
「前の展開の方が好きだった」等のリクエストあればコメントください、その際は変更前もアップします。
「夢子。今日、前のプロジェクトの打ち上げをするそうだからお前も来い」

月島課長にそう言われた時、思わず「はぇ」と間抜けな声を上げてしまった。

「自分、基本的に忘年会以外での飲み会不参加なの伝えてませんでしたっけ」
「ちゃんと伝わってる。が、今回拒否権はない。上司からの命令だ」
「……その上司ってだ「月島ァ!」

憂鬱がじわじわと湧き上がってきた所に、それを吹き飛ばすかのような声量でこちらに駆け寄ってくる男がいた。

「あ、おはざーす、鯉登部長」
「あ!夢子もいたのか!丁度よかった、こないだの出張のお土産を持ってきてやったからお前も受け取れ!」

そう言って紙袋を押し付けてくる。紙袋にはくずし字で何か書いてあり、中には小さい缶が入っていた。多分、お煎餅とかだろう。

「ん、ありがとう」

思いもよらなかった贈り物に、ふわふわした気持ちになる。そのままお礼を言うと、彼はドヤ顔でふふんと鼻を鳴らした。ムカつくけど、さっきの暗い気持ちはもうどこにもなかった。
こういう時いつも、陽だまりみたいな奴だな、なんて思う。

だが、二人と別れた途端、先程の胸苦しさが息を吹き返した。
せっっっかく仕事バリバリこなして会社をこっちに依存させて業務連絡と会議以外のコミュニケーションは最低限に抑えてきたっていうのに。本来の限界オタク情緒不安定メンタル激弱を隠してクールキャラでゴリ押してきたのに。
飲み会とか無理無理絶対ぼっち確定じゃん無理だって。せめて近くに知り合いがいれば……いや月島課長も鯉登部長もいっつも周りに人いるわ、あの中に投入されたらボロを出して死ぬ。ぼっちでも死ぬ。あっこれ詰みでは?

「よお、またえらく沈んでんな。また推しがどうとか言ってんのか」
「尾形せんぱぁい」

もはやストレスで味のしなくなったお茶を口に流し込んでいると、尾形先輩がニヤニヤしながら話しかけてきた。人の不幸を嗅ぎつける山猫め。とはいえ、この人からは同じく「陰」の気配を感じるので仕事以外のこともちょっと話したりもする。数少ない知人だ。

数少ない……知人。

「……まって、ひょっとして今日の打ち上げって尾形先輩も来たりします?」
「あぁアレか。今回のは主催が全部負担してやるって話だったな。流石ボンボンだ」

その返答にぱっと顔を上げる。

「参加するんですか」
「ああ。でもお前には関係ないはずだろ」
「いや、なんか上司命令で参加することになってしまって……でも尾形先輩のおかげで乗り切れそうな気がしてきました」

尾形先輩が来てくれるんなら一人きりは回避出来るかもしれない。もともと彼もあまりそういう関わりは持たない人だから、早いところ二人で切り上げて帰れるだろう。
助かった。


と、思ってた時期が私にもありました。

さっそく尾形先輩の所へ向かおうとしたら、鯉登部長に「今回のプロジェクトの一番の功労者はお前だろう!飲め!」と連れられ、気がついたら月島課長と鯉登部長、そしてその他大勢の女の子と一緒に呑んでいた。胃が痛い。

二人ともただでさえモテるのにそこに部長の同期の女投入したらライバル出現じゃん、女の子の反感買ってGAMEOVERじゃん。

そう想定していたが、意外にも自分は女の子からは好印象を抱かれていたらしい。すごい笑顔で話しかけてくれるし、連絡先の交換を申し出てくれた子もいる。持ち前のコミュ力では無表情で「ああ、いいよ」と応えるのが精一杯だったが、内心めちゃくちゃ嬉しかった。さっそくスマホを取り出そうとしてはたと気づく。

スマホが無い。

おかしいな、店に着く前にLINE確認したから無くすはずがないのだが。

「探し物はこれか?」

鯉登がひらひらと手を振ってみせる。その手には私のスマホが握られていた。ああなんだお前が持っていたのかと安堵したのも束の間、返してもらおうと手を伸ばすとすっと遠ざけられた。

「夢子は俺のだ。渡さんぞ」

顔をあげた時、鯉登は子供が拗ねたような顔をしていた。今まで見たことの無い表情にきょとんとしていると、さっきの女性は納得したように「そうだったんですねぇ」と笑って、月島課長の所へ行ってしまった。

「……連絡先」
「必要なかじゃろ」

スマホは返ってきたものの、彼の表情は相変わらず不機嫌なままだ。

まぁ、それとは対照的に自分の頬は少し緩む。どうやら、鯉登が酔って甘えたモードに入ったようだ。
此奴は酒が入った状態で周りに人がいなくなると、鹿児島弁が出るようになりどこか子供っぽくなる。ぐうかわ猫かよ。前に一回飲みに行った時こうなって、ニヤニヤが止まらなかった。

「だいたい、わいは他人にベタベタしすぎなんじゃ」
「別にいいでしょ、女の子同士だし」
「ようなか。わいを狙うちょっやつは沢山いっど」

おいんなんに、と頬杖をつく姿がどこか乙女みたいで、ふは、と吹き出した。

「何笑うちょっど……」
「いや、やっぱりかわいいなと思って。私はどこにも行かないのに」

思わず零れ出た言葉に、鯉登が硬直する。
やべ、かわいい地雷の方だったか。慌てて弁解の言葉を探すが、何も浮かんでこない。

「……ほんのこて?」
「え?」

「ほんのこてどけも行かんか」

鯉登が引っかかったのはかわいいの方ではなかったらしい。どこか心配するような、懇願するような声に一瞬たじろぐ。

「うん、ちゃんと近くにいるよ」

だから、安心させるように頬を撫でた。
その顔はずるいなぁ、なんて思いながら。

すると、鯉登は眉を顰めて、口を固く結んでしまった。どうしたのだろう、と顔を覗き込むと、残りの酒を一気に煽って長く息を吐き、私の腰に手を添えるとぐっと引き寄せた。

耳に吐息がかかり、情けない声が漏れそうになる。
待って、これは何だ。唐突に近くなった体温に、心音に、鯉登の匂いに、頭がついて行かなかった。

「……おいと、ずっと一緒におって欲しか」

囁かれる低い声に、「この人、そんな声出せるんだ」なんて呑気に思った。考えがうまく纏まらず、甘美に溶かされるまま、小さく頷くことしか出来ない。それしか選択が残されていないみたいだった。

「むぜ顔をしちょっな、そういうんは夜に見せ」

そう言うと、幽かに口角を上げて額に口づけた。

月島課長がラストオーダーだと呼びに来て、鯉登は「すぐ行く」と席を立った。離れる体温が少し名残惜しかったが、鯉登と目が合うと彼も瞳が揺れている事に気づいて、やはり可愛らしいと思えてしまった。

ただ、席を立つ前に、彼の合鍵を握らされたことを除けば。

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作者名: | 作成日時:2021年9月11日 15時

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