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http://uranai.nosv.org/u.php/hp/5b3f2d4e823/

↑の続きの作品です。
これ単体だと流れがつかめないと思いますので、前作を拝見してからのほうがいいと思います。


ピクシブにて書いていた小説を、占いツクールに同じ内容で投稿しました。
楽しんでみていただければ幸いです。

これの続きですが、私の作品ページから飛んでいたけると読めると思います。
「お前なぁ!!防護服着ていなかったとはどういう了見だ?あぁ?雁首揃えて聞いてやるよ!!言え!!吐けこの野郎!!」


病室だっていうのに、グラサンかけたヘビースモーカーの松田陣平は目を潤ませながら怒りをぶつけている。
まぁ自分の体を守り万一の事態に対応してくれる防護服を着ずに作業していたんだ。怒りたくもなるよなぁ。わかるわかる、と頷き共感しながら二人の頭上を彷徨っていた。あ、枝毛見つけた。ちりちりしてる。爆発の影響かな?うけるーマンガみたい。


「そんときは熱くて苦しくて臭くて動きづらくて邪魔くさく思えたんだ・・・。
正気の沙汰ではないと思ってる・・・
もうそんな無茶、出来ないしそんなこと考えもしない。」


この病室の主である萩原研二は、神妙に頷きながら答えていた。
そりゃそーだ。死にかけてるんだからしようと思っても出来ないし、多分トラウマになってるんじゃないかな?
もう事故でそんな作業出来やしないだろう。
爆弾処理班の2大エース様だったのに。それに最近は爆弾を使う事件多くなってきたような気がする。ますます現場を離れるには惜しまれる存在だろう。ただでさえ警察は万年人手不足なのだから。処理する頻度も増えてるらしいし、いちいち脱いだり着たりするの面倒だよね。その気持ちわかるよー。まぁ真似しようとは考えないけど。


でもまぁ、本人が100%悪い訳でもないんだよねぇ。注意して直させなかった周囲だって仲間を見殺しにしちゃってるし、上司は現場を把握していないのも過失だし、外部に漏れたらそれこそアウトだ。安全な場所にいるからと言って、野次馬がいないとも限らないわけだしさ。携帯で動画でも撮られたらシャレにならない。
それでもなぁなぁで済まされていたのは技術があり、口先だけのやつじゃなかったからだろう。
腕は確かで優秀で将来を期待されていたのだから。


と、独白をしていたら面会時間が経ち、彼の悪友である松田陣平は出て行ってしまった。
そうなると病室には満身創痍で至る所に怪我を負った彼と、浮遊霊に成り果てた私の2人きりになってしまう。どうしようすっごい気まずい。


松田がここに到着する前に私が様子を見にきたら目を見開かれて萩原から二度どころか三度見されたし松田には私の存在ごとスルーされていたので普通の人には認知されならしいし。ついでに彼らの話が終わるまで、ふわふわと風船のように動けるので水の中にいる感じが面白くて遊んでしまっていた。まぁいわゆる現実逃避だ。
私の声が聞こえるかは分からないけど、一応直視出来るようだし・・・


「謝っても許されることでもないし、良い訳のしようがない。君が生きていない以上責任も取れない。
本当に取り返しのつかないことをしてしまい申し訳ありませんでした。
俺のできる限りでみっともない限りではありますが、もしよろしければ償いとして貴方の成仏のお手伝いをさせてもらえないでしょうか。」


1人そう瞑想していたら話しかけられてしまった。
紛れもない萩原研二本人に。まぁ萩原しかいないし萩原以外誰がしゃべるのかって話なんだけども。

成仏、ねぇ。走馬灯すらない私に執着するものなんてないし心当たりすらも見つからない。
償いとしては成立しないように思えるんだよね。
ああいや、そもそもの前提として償いをさせたいとも思っていないんだけど。いやほんとに。

答えのない間違い探しをしているようなものだ。
1つの絵が描かれた一つの紙を渡して、もう一枚似た紙があるんだけどそれ失くしちゃって。どこか間違いか予想してみてねー、いくつ異なるのかもわかんないから頑張ってー・・・
という感じで挑まれ放置されているのと同義だ。
どこか分からないし当たっているかという確認のしかたも方法も何もない。
あるようでない。ないようである。どれが正しいかどうかなんて私にだって理解できない。
だって私が“生前の私“じゃなくなってしまった時点でハードモードだ。

それはどんな問題より難問に違いない。だってもう私自身が諦めているんだから。

しかも萩原に原作補正がかからないとも限らない。
だから今この瞬間から萩原は死にかけるような大きな事件に巻き込まれるかもしれない。
ヘビースモーカーなのがたたって、今回の怪我とは異なる入院をしなければならないかもしれない。
この冬に萩原はまた爆弾事件で死にかけるだろう。そうしないと松田が関わったあの観覧車の事件が発生しない。つまり原作が崩壊してこの世界自体の存在も危うくなるかもしれないのだ。

だって原作が始まると一年が無限にループしてしまう。何回だって季節は死んでいくし、生き返ってくる。周りの認識自体がガバガバなのだから、どうにでもなるのだからどうにもできない。


というか原作当時に存在しないこの人がそんな違和感に気づく可能性もあるんだよな・・・
周囲の環境に溶け込めないかもしれないんだ。
元をたどれば分類が違ってしまう。
物語に最初からいる主役、準レギュラー、怪盗キッド関係の人たち、モブ、そのどれにも当てはまらない不安定でイレギュラーな第三者になる。存在すら否定されてるんだから・・・え?
ちょっと待ってそれってモブ以上に事件に巻き込まれて死ぬ確率上がるってことなんじゃないのコレ。しかも萩原尋常じゃないくらいモテるし。
背中刺されたりしない?タチの悪いストーカーとかつかない?
成仏云々とかそれ以上に私よりも粘着質でめんどくさい貧乏くじ引くってことならない?


あちょ待って待って、萩原からの言葉でオタクらしくそういう長ったらしく考えていたけど返答してないじゃん印象最悪じゃん待って待っていま話すからそんなじっと見つめないで穴空く


混乱してまとまらないまま、独り心の中でごちながら務めて冷静に見返して返答する。
が、動揺していることが言葉にも表れてしまったらしく言わない方がいい事まで口に出していた。


「おいおい、別にそんなに気に病むこたぁねぇよ。もう過ぎたことだ。
仕方ないだろ。アンタが生きていただけでも上出来だ。
過去なんて振り返ってやりませんよ、死ぬ気で生きようぜ?
それにそんな堅苦しい言葉はよせよ、俺ら・・・いや、私たちは同期でしょ。気楽にいこうぜ?」


後悔した。
なんなら言っている途中で自分でも何言っているか理解できなかった。というか潜入捜査のクセが全面出てきてキャラがブレてる。
それに私の今と生前の身だしなみ・・・服装が物凄く説得力がなく、ヤンキーの使うものをハイブランドにしたようなものだ。

つまりはお世辞にもカタギじゃないとは言えないくらい遊んだようなもので、一般人はおろか公僕にはみえないセンスで固められていた。泣きたい。好きでこんなんやってない。
仕事で必要なものなんだ。いやほんとに。

私の部署は他とは毛色が違い、防護服も作業服も、ましてやスーツすらも着ない。
陰で暗躍して、特に一般人に気を使って誰にも気付かれないように仕事をする部署だ。
跡形もなく、存在すら露見しないように終えることが重要で・・・ってこれCIAみたいなこと言い出しちゃったな。CIAってスパイ組織だっけ?口つぐんでおこ。

まぁそんな私よりも萩原のことだ。
一瞬絶句して二の次が言えないくらいの衝撃を与えられたようで、目を極限まで開き口元を引きつらせながら指をさされる。可哀想に。
その硬直から抜けたのは数秒後のことだった。
目は口程に物を言うとはまさに今の状態が指せるだろう。
その沈黙の間、視線だけなのに私のことを信じていない雰囲気が流れていてさらに気まずい空気になっていく。


「…っえ、アンタ同期、ってか警察官?!身内?!アンタの顔、警視庁ですれ違ったことはおろか見たこともないんだけど?!…もしかして、公安とかマルボウとかそっち方面?」


公安行けるほど優秀じゃないよー一般警察官です。ってかあそこには諸伏と降谷あたりが行ってるから定員オーバーだ。
まぁ彼も可能性の一つ程度で本気で言ってはいないんだろうけど。
マルボウかー・・・暴力団関係って大変なイメージが強いよね。お疲れ様です
銃撃戦のなかに突っ込むこともあるんだっけ。大変な職場だよね。機動隊やウチんとこも相当だけど。


「ううん。仕事柄、服装をヤンチャめにしたり崩したりしているから分かりにくいとは思うけど・・・改めて自己紹介でもしようか、お互いに。
刑事課の組織犯罪対策本部の潜入捜査専門でやってます。置鮎国光巡査です。国の光でくにみつ、って呼びます。因みに外では手塚雨令っていう偽名使ってました。
これからどうなるのか分からないけれど、よろしくね萩原。
あ、あと警察学校時代は目立たなかったけど、結構な成績上位者だったよ。知らない?」


少し萩原のほうにかがんで表情を覗こうとしたけれど、あまりいい反応はえられなかった。
ありゃ、その反応は覚えてないか。まぁそうだよね。警察学校では規則だったりなんだり厳しいからあまり周りとか見る余裕ないからね。
班行動が主な分あまり交友関係を広げる機会が少ないだろう。班が違えば卒業までまともに付き合いがない人なんて結構いるし。というかいたし。それどころか部署が違うしねぇ。分からなくて当然だろ。


「は、萩原研二です。機動隊で爆発物処理班にて活動していました。
こちらそこよろしく。
成仏でもなんでも頼りにしてくれよ。」


多少どもりながらも、返してくれた返事に嬉しくなって笑いかける。これから私たちがどうなるのかは分からない。
けれど、お世話になるであろうこの友人との生活に諦めと希望と申し訳なさを詰め、ふわふわと頭上で萩原にとっての最善を考えながらテレビに目を向けてワイドショーを見始めた。
・・・あ、1つだけ言い忘れていたことがあった。私はそのまま目線を動かさずに萩原に話しかけた。


「先に言っておくけど、私女だよ。」


またもや引きつる声が一人しかいない個室の病室に鳴り響いた。
凝視されながらも無視をして何事もなかったかのようにテレビを見る。
私は今日、命日を迎えた。の衝撃によって死んでもう甦ることのない前世の私の記憶を手に入れ、この世界がマンガを反映させた世界だと知った。
血縁者が主要人物だということも。そのままいけば、あの子が大変な苦労を背負うことも。
大好きなキャラが悲惨な最期を迎えるという事も。
折れかけそうになる心を無視しながら全てを飲み込んで、今自分ができる精一杯をやってみようと思った。

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作者名:出雲流夏 | 作成日時:2020年8月8日 16時

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