【リク募一時休止中】吹奏楽×恋愛【吹奏楽部さんいらっしゃ〜い】日替わりだよ！

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どうして、気付けないかなぁ…。俺はこんなに、あんたのことを―… - 2024年5月11日

「YOU――!!」

『ぎゃぁああぁあ!!!』

「ぎゃ―って、ヒドッ!!」

『あ…なんだ…茜先輩ですか…』

茜「むーっ…」

『いや、あの、いつも言ってますけど、いきなり飛び付いてきたらビックリするんですって』

　私の背中に飛びついて来たのは同じSAXに所属する高柳 茜先輩。
まさか先輩とは、と思うような行動をいつもしているが、これでもれっきとした私の先輩。
一つ上の高校3年生。

『先輩。音楽室入りません…?』

茜「やぁーっ、このままがいいーっ!」

『先輩、我儘言わないで下さい』

茜「俺はYOUとがいーのー!!」

　駄々をこねる子供とまるっきり同じ事を口走り、音楽室の手前で私にしがみつく茜先輩。
言ってる事は子供だけれど、体格も力も先輩は男の子なんですよ。
ですからいい加減苦しいです。

『先輩…っ、ちょ、離して…苦しいです…』

茜「離さない、YOUと一緒がいい」

『パート一緒でしょうが』


　先輩のわけのわからない言葉に突っ込みを入れるのも日常茶飯事。


茜「そーいう事じゃなぁいっ」


　そして先輩が私に反論するのも日常茶飯事。


『あーもーっ、私は我儘な方は嫌いなんですけどっ』

茜「ぇうっ!?」

　ふっ、と先輩の腕から力が抜ける。

茜「え、え、ねぇ、YOU、ヤだ、ねぇ、YOU…っ、俺のこと嫌いになっちゃ、イヤだ…っ」

　何歳だからそんな風に抗議するんですか、とか
男のくせに何泣きそうになってるんですか、とか
私に離れられるのがそんなに嫌なんですか、とか

　色々言いたい事はあるけど
いや、言いたい事はあるのに

　
　体が言う事を聞かない。
なんでだろう。

茜「YOU…、YOU…っ!」

　上から降る、先輩の涙声が、私をさらに混乱させる。

『や、もうっ、黙って下さいっ』

茜「う、…YOU…」

『先輩は意味分かんないんですよっ。好きなら好きって言ってくれないと分かんないです!』

茜「YOU…?」

『馬鹿、先輩の馬鹿、ハッキリしない先輩なんか嫌い』

　あー、もう自分で何言ってるのか分かんない。
全部全部、先輩のせいだ。

茜「…YOU、俺、YOUの事好きだよ」

　今度は、先輩の落ち着いた朗らかな声が降る。

茜「好き、好き…。だから、嫌いにならないで。YOU…好き…」

『先輩…?』

茜「好き。全部俺の物にしたいくらい、好き」

『んっ!?』

　突如、唇に温かく、柔らかな感覚。

それがなんであるかを理解した時には、私は酸欠に陥っていた。

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