【文スト】ＹＯＵＴＨ！【学パロ】

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驕りの春の美しきかな。 - 2024年5月11日

『今日のお相手は国木田さんです』

「だ〜か〜ら、何度も言ってるでしょうが！人生には妥協ってモンが必要なの！こんなちっさいミス誰も気にしないから!!」
「こちらも何度も言っているだろう！一度妥協する道を選んでしまえば、以後何度も楽なほうを選ぶ様になり、理想から益々遠ざかると…！」
「うっさい理想莫迦」
「莫迦とは何だ大食漢！食べた白米分は仕事しろ!!」
「はぁ!?」
全く癪に障る男だ。華の土曜日にどうして私、こんな奴と２人きりで生徒会室なんかに居るんだか。
眼前の理想莫迦…本名 国木田独歩…はこの高校の生徒会長である。この男の理想主義は最早学校の伝説だ。なんせ、生徒会任命式できっちり30分「理想の青春とは」という題のご高説を熱弁し、生徒の３分の２を熟睡させ、残りの生徒をどん引きさせ、教頭先生と体育教諭を感涙させた。お陰で副会長の私や他の役員達も一括りで「変人」認定され、教頭先生は二日に一回生徒会室に訪れては進捗をねぎらうようになった。
…よほど国木田の演説がお気に召したらしい。

そんな国木田と今、クラスマッチのパンフレット作りで揉めている。テニスのトーナメント表の線が一つズレている、得点表が約３度斜め、ソフトボールのルールも…何度と言っていたか忘れたけど斜めに印刷されている、更にホッチキスの止め方が一部違う、表紙を上にして止めないと針金の凸凹の方が見えて美しくないとか何とか…、別に直さなくても何とかなるミスばかり。これを直したいとなると、やっとこさ拵えた300部のパンフレットは水の泡だ。
「…これ月曜日に配布だよ？紙資源の無駄だよ、もっというと労力の無駄？…国木田が居ない一週間に私たち毎日８時まで残って頑張ってたんだよ」
「…それに関しては申し訳なく思っている。だが元はと言えばあの包帯無駄遣い装置…あいつが俺の水筒にあんなものを入れなければ、原因不明の腹痛に悩まされることもなかったのに…ッ」
国木田の顔が怒りで真っ赤になり、その後腹痛の日々を思い出したのか真っ青になった。何が入っていたのだろうか？

「恨み言を言っても仕方ないな。…お前ももう帰っていいぞ、呼び出して悪かった」
「じゃあパンフレットは」
「全て俺がやろう」
流石に大変すぎる。
「仕方ないな、手伝ってあげる。どうせ学校迄来ちゃったんだから」
変だろうか、こんな面倒な奴がちょっと可愛く思えてしまうのは。
(有難いが…いいのか？)
(うん、後でパフェ奢ってよね)
(太るぞ…いや何も)

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