【シークレット解除!】社会的男子。【歌い手】

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仕事、そして恋の両立？今日のお相手は―… - 2024年5月15日

伊東歌詞太郎 *詐欺師*

「ねえ〜俺にだまされてみてよ。結婚しよう」
『前半部分見直してからにして』

ああ、もう本当しつこい。
なんで毎日来るこんな男を家にあげているのだろう。

「あ、この紅茶美味しい！」
『…それはよかった』

名目は“お茶を飲みに”。
実際は―…

「ね、そろそろ結婚する気になった？」
『ならないわよ、誰よ初日に“僕詐欺師だから”って言ったの！』
「だから詐欺師やめるって」
『信用できるわけないでしょ』

支離滅裂なことを言うこいつは、顔よし頭良し声よしの3コンボ。
これで脳内もまともだったらモテるのにな、と思う。

いや、今も十分モテているのだろうけど。

彼の目の前にクッキーを置き、いつもの如くのんびりテレビでも見ようかと思っていた、

ら。

「…本当か嘘か、騙された気分で。どう？」
『き、気分じゃ終わらな…ひゃ、ぁ』
「じゃあ本当にしちゃえばいいじゃん」

ドサリ。
なんともベタな効果音とともに、背中に感じるはソファの柔らかい感触。
目の前にある、歌詞太郎の熱っぽい瞳。

…不覚を取った、こいつに押し倒されるなんて。

なんとか起き上がろうとするも、彼がそれを許さない。

首筋に落とされた唇、それを段々と下に下げていく。

鎖骨、そして服をずらして肩。

自分からもれる色めく吐息が、背徳を象徴しているかのようで頬が熱くなる。


『は、離して、』
「そろそろ僕も余裕無いの―…なんで、そこまで親しいわけでもない男、家にあげるんだよ」
『〜〜っ、それは』

ちょっとでもあんたに好意を抱いていたから、なんて言えない。

ねえ、今のこれは歌詞太郎の詐欺の手ですか？


それとも―――――…



「本当、建前とかどうでもいいよ。YOUが嫌ならまともに働くし。そもそも詐欺対象に詐欺師ですなんて言わないし」
『…それも、詐欺なの？』
「知らない」
『！』

荒々しく塞がれた、唇。

私が知らぬほど深いそれに、どちらの唇か判らなくなるほどに蕩ける。

熱っぽい吐息とともに離されたそれ。

歌詞太郎は、余裕なさげに艶っぽい声を出した。

「…お願い、詐欺師って蔑んでもいいから。…俺に、一生騙されるくらいに夢中になってよ」



抵抗する術を、私は持たない。

これから始まるであろう甘い甘い生活は、


ハリボテ？


それとも――――…

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