【RKRN】君と過ごす日々

6種類の結果パターン

あなたの本日の占い結果です - 2024年5月11日

富松作兵衛 作者：夏凪
-富松目線-


あいつを町に誘ったのが、そもそもの間違いだった。


隣にあった筈の体温は気付いた時にはすでになく、視界にもいない。
俺に悪態を吐いて走り出し、そのまま人混みの中に消える。
ただ、左門や三之助とはぐれた時とは全く違うことが、ひとつだけ。


―――――莫大な、不安。


YOUは案外すばしっこいし、剣の腕だってそこそこだが、やはり女は女。
今頃、誰かに攫われていたら？
…ああ、雨まで降ってきた。

もし、泣いていたら？


―――――作兵衛のばーか！


…いや、それはないか。

YOUは案外すばしっこいし、剣の腕だってそこそこある。
誰かに攫われようものなら股間を蹴りあげるだろうして逃げ出す、…というかむしろ攫った奴のほうが心配だ。
雨が降ったら、どこかで雨宿りするだろう。

…泣くわけ、ない。



―――――そんなわけ、ないだろ…！



バシャンっ、と水たまりがあるのも気にせずに走り出す。

普段いつも笑顔で、強気なYOUの裏側を、俺は知っている。
本当は笑いたくない日だって笑い、強気な素振りは弱音を隠す為の嘘。

すぐにでも壊れてしまいそうな、本心を。
それを守ろうと決めたのは、まぎれもなく、俺自身。


それだけは、嘘にするわけにはいかない。


「YOU…！」

草むらの隅で雨に打たれている後ろ姿を見つける。
俺と離れた時からずっとこうしていたのだろう。掴んだ肩は、体温を失っていた。

やはり、瞼は真っ赤で。

「さく、べ…わたし、」
「謝るな。…俺が、悪かった」

YOUの言葉を遮るように言ったそれに、あいつの目が見開かれる。


「お前を泣かせないって、守るって決めてたのに、…悪い」


―――――あ。

時、すでに遅し。
一年生、いや、下手したら入門する前から自分の胸の中にだけにとどめていたそれが、あまりにも簡単に零れ出す。

勿論、YOUだってその意味が分からぬ程の年頃ではない。
その証拠に顔が真っ赤、だ。

「…それって、どういう、」
「だ―――――ッ！！帰る！」

…また、時、すでに遅し。
言った言葉は取り消すことは出来ず、YOUは俺に舌を出していた。


「作兵衛のばーか！」


―――――笑顔で。

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